SAVE JAPAN プロジェクト 2014

鳥取 とっとり・なんぶ手自然ネットワーク「サトノテ」

ブッポウソウが息づく豊かな里山の保全活動

カスミサンショウウオの卵を探そう!

■当日の大まかなスケジュール

カスミサンショウウオは、環境省指定の絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) として扱われ、世界中で西日本にしか生息していない固有種です。
里山の生物が軒並み絶滅危惧に名を並べている中で、カスミサンショウウオも豊かな二次自然のバロメーターの一つと言えるでしょう。
その貴重な両生類の繁殖地を実際に見て頂きました。

仕掛けていたトレイルカメラでは、2頭のヌートリアがうろついているのが確認されました。トウキョウサンショウウオの繁殖地ではアライグマによる捕食被害が出ているようなので、ここの場所も、ヌートリアや他の外来種によって影響を受けないか情報を収集していかねばと思います。

今回、卵塊を観察している最中に、カスミサンショウウオのふ化したところを見ることができました。たぶん、卵塊を移動させてしまったことが刺激になったかもしれませんが、ちゃんとエラが発達している2センチほどの赤ちゃんが、バットの中で泳いでいるのをみんなで観察できました。
大人になって繁殖地に戻ってこれるのは
1~2%くらいです。外来種がいなくてもこの数字なので、かつてはいなかった天敵が大幅増の上に、生息環境・繁殖地環境の悪化という挟み撃ちの中で、生まれた場所で交尾産卵できるコは、今ではもっと低くなっているかもしれません。
カスミさんたちの順調な成長と繁殖を願っています。

本フィールドは、希少種の保全保護のため、地区名非公開、及び、関係者の方以外は無断侵入禁止となっております。
地元の方のご許可を得て実施しています。

10:15 開催の挨拶
10:30 フィールドへ出発
10:40


繁殖地到着。
現場の説明やトレイルカメラの解説のあと、
カスミサンショウウオの卵塊や水生生物探し。
11:30 記念撮影
11:45

公民館にてまとめの時間。
クイズや、カスミサンショウウオの成体に触れる体験。
12:00 アンケート記入、解散。

※当日の様子は「サトノテ・ブログ」でもご覧頂けます。

ニホンアカガエルの卵塊だよ! 森の水辺で卵探し! サンショウウオの卵発見!
赤ちゃんが育っています 公民館でまとめタイム 記念撮影

■イベントを実施して

参加人数: 11名(内、子ども6名)
アンケート回答数: 11件
満足度の平均値(%):満足...100%

■参加者の感想

● たまごがみつかったことがたのしかった。(小1)
● カスミサンショウウオのたまごをさわれたことがたのしかった。(小4)
● サンショウウオをとったこと(たまごをとったこと)がたのしかった。(小3)
● 本物にさわれる事がよかった。(30代女性)

■イベントを実施して苦労した点
季節柄、大雪などで繁殖地へのアクセスが困難だった場合の、第二候補地の絞り込みに苦労しました。結果的に、山陰の2月としては恵まれすぎた天候の中で開催できました。また、今回のフィールドを使わせて頂くにあたり、繁殖地周辺の山林の所有者の方を調べるのに、かなりの時間を費やしました。どこの場所を開催地として利用させて頂くにしても、地元の方のご許可の元で実施することがセオリーなので、今後も、ゆとりを持って関係者の方へのご挨拶をしなければと思いました。

■イベントを実施して良かった点
本企画では、町内でも有数の個体数を誇る繁殖地だったので、確実に参加者の方に、卵塊を見て触って頂く事ができ、貴重な機会の提供ができたと思っております。かつ森の中のため池という雰囲気としても、水辺と森林と生き物のつながりを感じやすいフィールドで開催できましたので、主催者として押さえたい目標を殆どクリアすることができました。特に卵塊の中でくるくると動く胚の状態を実際に見て頂き、参加者の皆さんはとても感激されていました。
さらに、ヌートリアの糞の痕跡や、トレイルカメラの設置によって分かった行動時間や場所などから外来種の脅威の可能性についても触れさせて頂きました。重要な記録として、今後も対策を含めて様子を見ていきたいと思います。
また、オプションでニホンアカガエルの卵塊が産みつけられている場所も見て頂き、こちらも卵塊タッチを体験してもらいました。季節限定の希少種との触れ合いの場を皆さんに体験して頂き、実施出来ました事に関係者の皆様に御礼申し上げます。

■特に寄付が活きたと感じた点
今回は、神奈川県でのトウキョウサンショウウオの繁殖地におけるアライグマの捕食圧の情報を元に、本フィールドでも、調査をするにあたり、トレイルカメラ(無人センサーカメラ)を事前に設置し、得られた動画と画像を解析しました。この購入にあたり、寄付を使わせて頂きました。
結果、複数のヌートリアが繁殖地に出入りしていることが確実に記録されました。ヌートリアは基本的には草食性ですが、二枚貝も食べることが知られているので、繁殖活動をしているカスミサンショウウオを食べることも想像され、また水辺の侵入により卵塊を踏み散らす可能性も考えられるので、今後特定外来生物が及ぼす影響の一つとして、慎重に様子を見ていきたいと思います。SAVE JAPAN プロジェクトのご支援が頂けなければ、得られなかった重要な情報ですので、今後ともトレイルカメラを地域の希少種の保全保護活動に活かしていきたいと思います。