あなたは果たして「カスミサンショウウオの卵」を発見できるか!?
レポート
発見しました!! それも思った以上でした。子どもたちも大人も大喜び。
「田村山生き物ネットワーク」では、このカスミサンショウウオを守るために、保護池を作ったり、人工飼育を行ったり、また個体群動態と生活史の調査などに取り組んでおられます。お話を聞き、実際に見てみるとどれもこれも興味深いことばかり。
「見つけた!」という貴重な体験ができました。
当日のスケジュール
10:05 カスミサンショウウオの生態と今までの保護活動についての説明
10:30 水中カメラを使っての観察とカスミサンショウウオの卵について解説
10:45 カスミサンショウウオの卵を見つけよう
11:15 見つけた卵と外敵アメリカザリガニの確認
11:35 終わりのあいさつ
実施内容
まずは、SAVE JAPAN プロジェクトののぼり旗がお出迎えです。
集合場所に、参加者のみなさんが集まってきました。
この集合場所左側の奥に、カスミサンショウウオの保護池があります。
今日は、保護池の中がどうなっているかも、お楽しみのひとつです。
使うのは、この水中カメラです。
この水中カメラを保護池の中に入れ、モニターとつなぎます。
あいさつが終わって、カスミサンショウウオの生態と今までの保護活動についての説明が始まりました。
集合場所にはたくさんのパネルが展示されており、順を追って説明してくださいます。
田村山麓の水路でカスミサンショウウオの卵塊が発見されたのは2005年のこと。今から11年前です。幼生や卵の観察・調査を進めていく中で、水路の水枯れが発生。このままでは田村山のカスミサンショウウオが絶滅してしまうということで、保護活動が始まったとのことです。
これが保護池です。
水路の水枯れ対策のために、水をためたタンクを頻繁に運び水供給をしたり、それでは追いつかないということでポンプを設置したりしたけれども、水路を十分に水で満たすことはできなかったそうです。そこで保護池を作ろうということになりました。
この保護池が完成したのが、2013年12月。2014年4月には、保護池に卵塊を移植できたとのことです。
水中カメラを保護池に入れます。後ろで、参加者のみなさんがモニターを覗き込んでいます。
カメラを動かしていると、「うわ~っ!!」という大きな歓声。
モニターにカスミサンショウウオの卵が映ったのです!
このキラキラ輝く目。うれしそうな、楽しそうな様子をごらんください。
カスミサンショウウオの卵も見せてもらいました。
これまた、参加者のみなさん、大注目。
「こんな卵、始めてみたわ~」「なかに、ちっちゃなおさかなみたいなのがいる」「これひとつひとつが、カスミサンショウウオになるの?」など、思い思いに言葉が出てきます。
そしてお決まりの写真撮影。いい記念になりますね。
卵がどんな感じかわかったところで、さあ、本番!
みなさん、手に手にアミを持ち、水路で「カスミサンショウウオの卵」探しが始まります。
数分もたたないうちに、子どもの大きな声。
「あった~! 見つけた~!」
アミの中に、いくつものカスミサンショウウオの卵が入っています。
すごい!!
保護池から少し離れた水路でも探します。
こちらでもたくさん見つかったようです。
水路で見つかった卵を数えていきます。
そしてアメリカザリガニ。
時間がたつにつれて、子どもたちの関心は「カスミサンショウウオの卵」ではなく、「アメリカザリガニ」をつかまえることに向かっていきました。アメリカザリガニはカスミサンショウウオの卵を食べる悪いヤツ、悪いヤツをつかまえたぞという感じでしょうか。
決して、アメリカザリガニそのものが悪いわけではないのですが・・・・・。
この日、カスミサンショウウオの卵塊は55個見つかりました。この卵塊を保護池に入れます。
アメリカザリガニは45匹捕まえました。少しかもしれませんが、カスミサンショウウオの生育に役だったようです。
記念撮影。
ちょっと寒かったけれど、楽しい時間でした。
参加者の声
- 本物の卵が自分で見つけられてよかった。「実物の〇〇」というめずらしいものを見つけたい。(男性/小5)
- 寒かったけれど、子どもたちがすごく楽しそうに活動していてよかった。(女性/30代)
- 天敵が駆除できた!(男性/20代)
- 卵が見られて、サンショウウオも見られた。アメリカザリガニの多さもわかり、カスミサンショウウオの置かれている現状がよくわかった。(女性/30代)
- 知らないことがわかって満足。(男性/60代)
イベント実施結果
- 参加者数
- 大人:44名 子ども:9名
- アンケート回答数
- 大人:33名 子ども:7名
- 参加者満足度
- 94%
- 実施してよかった点
今回、「わたし近くに住んでいるけど全然知らなかったわ。今日はいろんなものを見せてもらえてよかった。自分ではなかなか来られないからねえ」というお話を聞かせていただきました。保護活動には、継続性が重要です。そのためには地元の方や近くに住んでおられる方の理解が欠かせません。少しづつ活動の輪が広がっているように感じます。
子どもたちのキラキラした目が、大人たちにも伝わってとても和やかで楽しいイベントになりました。- 実施して苦労した点
- 当初、7月にカスミサンショウウオを見つけるイベントで計画しましたが、大雨洪水警報が発令されて中止となりました。その後、時期や気候とカスミサンショウウオの生育・生態、それをイベントでどう楽しんでもらうかの見極めが難しかったです。「卵」は未知数でした。
- 特に寄付が活きたと感じた点
- 寄付で念願の水中カメラを購入できました。映像の力は大きい!モニターに卵が映ったときの歓声はイベントを盛り上げてくれました。