SAVE JAPAN プロジェクト 2015

レポート

巨木の森観察会

2015年06月07日(日)実施
  • その他植物
  • 森林

レポート

高島市朽木中牧の山奥。1時間弱急傾斜を登っていくとトチの巨木群が迎えてくれました。水源を守るかのようにどっしり根を張っています。下山後地元の歴史を聞いて熱々の栃餅をいただき、トチの森の大切さを実感しました。

当日のスケジュール

滋賀県高島市朽木中牧山村交流館「山帰来(さんきらい)」集合

 9:00 バス利用の方はJR
湖西線安曇川駅集合
10:00 自家用車の方は交流館「山帰来」集合

10:30 交流館「山帰来」にて開会、注意事項説明
10:40 登山開始
11:30 巨木林到着 現地観察と昼食
13:00 下山開始
14:00 交流館「山帰来」にて針畑の歴史を地元の方からお話をうかがい
      焼き立てトチ餅をいただき、自家用車の方は解散
14:30 バスの方は湖西線安曇川駅へ出発
16:00 安曇川駅到着

実施内容

 イベント当日は梅雨入り後にもかかわらず、気持ちのよい日となりました。参加者は30名を越え、家族連れで小学生から中学生の参加もありました。

巨木観察会の写真


集合場所の山帰来(さんきらい)であいさつと注意があり、それから2班に分かれてふもとの大宮神社から裏山への道を登り始めました。


神社あたりは、針葉樹の植林です。


堰堤をたどって谷を渡りました。ちょっとした冒険です。


深い森の中、少し湿った落ち葉を踏みしめて行くと鳥の声が聞こえて、森が生命に満ちているのを感じました。

かなりの急傾斜が続きました。体調がよくなかった方が残念ながらお一人引き返すことになりました。


急斜面を登っておよそ1時間。ほかには誰もケガなどもなく、一時間弱で目的地に到着しました。トチの木が出迎えてくれました。

 そこにはトチの巨木が群生しており、急な傾斜に注意しながら見上げるとトチの葉が空を覆っています。何百年も根を張り生き延びてきたトチには圧倒的な存在感がありました。


朽木地域ではトチの巨木が伐採されたことがあって、それが森林の機能を低下させ、動植物が激減するなどの影響を及ぼすのではないかと会の皆さんは危機感を持っておられます。そこで、地域全部のトチの調査、保全活動、そして今回のような観察会を行っておられるとのことでした。

巨木観察会の写真

その後は三々五々、シートを敷いてお弁当を食べ、しばらく休憩。子どもたちはトチの幹に登ったり、もっと上のほうのトチを見に行ったりと、元気いっぱい走り回っていました。また、会の方に案内してもらい、希望者だけで水源を見に行くミニミニ・オプショナルツアーもありました。

6月7日 巨木の森観察会 写真


一本一本巨木を尋ねて歩く人も。
調査のため番号を書いた小さなテープが幹に付けてありました。

風のそよぎ、葉づれの音、少し湿った土のにおい、小鳥のさえずり。
ずーっとトチのそばに座っていたいと思う空間です。

6月7日 巨木の森観察会 写真

たっぷり自然に浸ったあと、記念撮影です。トチの巨木の前で、みなさんとっても自然に笑顔になりました。すごい傾斜なのがおわかりいただけますか?

それから下山開始ですが、一度登りました。

6月7日 巨木の森観察会 写真

巨木群の中には、実生の若いトチもあります。しかし、そのままにしておくと鹿などの動物に食べられてしまうため、水道管で保護してありました。このまま大きく育ってほしいものです。

6月7日 巨木の森観察会 写真


崖に挟まれた尾根道や滑りやすい箇所などもあり、気が抜けない道中でしたが、キツツキのドラミングが聞こえてきたり、草花やリスの食事跡が見つかったり、豊かな自然と向き合う時間となりました。写真はリスが食べたオニグルミの殻です。

6月7日 巨木の森観察会 写真


下山して、再び大宮神社の境内に戻ってきました。ここには小さな池があり、モリアオガエルの卵塊がありました。

6月7日 巨木の森観察会 写真


しかし、下の池をよく見ると、イモリたちが待ち受けているのです。自然界で子孫を残していく厳しさを目の当たりにした思いでした。
この豊かな命を支える水も、あのトチの巨木たちが守っているのでしょうか。

6月7日 巨木の森観察会 写真


山帰来では、地元・朽木の歴史について、地元の方からお話しを伺いました。京都からの往来は古くからあり、現在では水源を守るという意識を持って暮らしておられる、と語っておられました。

6月7日 巨木の森観察会 写真

 
その後、トチの実を使ったお餅を食べさせていただきました。作り方も教えていただきました。そのまま食べるとアクが強く、苦くてとても食べられたものではないそうです。皮をむき、水にさらして煮て、灰にまぶして渋抜きをして、餅米といっしょに蒸してつきます。今回は灰にまぶして渋抜きをした後の実を味見させてもらいました。口に入れると舌に刺さるようなピリピリした味!このピリピリが渋抜きが完成した証だと聞いて不思議でした。

6月7日 巨木の森観察会 写真


熱々に焼いたお餅に、きなこや手作りの餡をつけて頂きました。独特の風味があっておいしい!普通のお餅よりも固くならずに日持ちがするうえ、腹持ちもよいということです。

稲作の田んぼが少ない山間地では、トチの実が貴重な食料として大切にされてきたことがわかりました。トチの実のお餅は、地元の道の駅で大人気商品となっているそうで、昔からのトチの実食文化は今も朽木で受け継がれていることがわかりました。

この豊かな栃の巨木の森が、一度は全て切り倒される危機にさらされたにもかかわらず、会のみなさんを中心とした市民の力が守ったことは素晴らしいことだと実感しました。

お餅を食べながら、参加者の皆さんにアンケートを書いていただきました。ところが、疲れて眠ってしまうお子さんもいて、残念ながらアンケート回収できないということも。でも、よくがんばって登りましたね!

お餅を食べたら、解散。バスで帰る人は、自家用車で参加された皆さんに見送られて出発しました。



このイベントで得られたこと

現地へ行くことと、お話しを聞くことを通じて、朽木の人々の暮らしと深いつながりを持ってきた栃が、人々や自然を守り、そして多くの人々に守られていることを感じることができました。

参加者の声

  • 素晴しい巨木に出会えました。環境問題により大切さを感じました。(70代男性)
  • 最後に思いがけずトチもちをいただけた(食は大事)から満足です。前回、雨で行くことができなくて…(40代女性)  
  • 素晴しい巨木に出会えました。環境問題の大切さをより感じました。(70代男性)
  • 1とちもちをいただいたこと。2栃の木の巨木からパワーをもらったこと。(60代男性)
  • 大きなとちの木がたくさん見れたことがたのしかった。(小学6年生)

イベント実施結果

参加者数
32名
アンケート回答数
大人25、子ども3
参加者満足度
68%
実施してよかった点
いくら写真や文章で、トチの巨木と、その役割の大切さを訴えても、現地でトチの木に触れることでしか伝わらないこともあります。アンケート回答からもわかるように、参加者のみなさんは実物に触れ、自然の大切さを五感で実感してくださいました。
実施して苦労した点
短い時間ではありましたが、急斜面の登山であったので、体調が悪かった方が引き返すことになりました。スタッフが付き添って山帰来に帰ってお休みいただきましたが、ご本人としてはとても残念なことでした。ただ、その後は体調も取り戻せたご様子でしたのでよかったです。
特に寄付が活きたと感じた点
イベント開催の現場へは自家用車でなければ行きづらいのですが、今回JR駅から直行バスを準備することができ、普段行きにくく感じている方にも参加していただくことができました。