SAVE JAPAN プロジェクト 2015

レポート

本州南限域のミズバショウ群落の保全活動

2015年09月19日(土)実施
  • その他植物
  • 森林
  • 湿原

レポート

下呂市萩原町位山峠のミズバショウ群落は本州のミズバショウの南限域と言われ、下呂市の天然記念物に指定されています。その小さなミズバショウの群落はススキに覆われています。そのススキなどの下刈りを行い、来春の芽吹きの準備をしました。また、周辺の森林は日本海要素と太平洋要素が混在しブナやヒノキ・ミズナラ天然林が拡がっています。岐阜大学位山演習林の森林で自然観察を行い、秋の1日、岐阜の奥山の自然を満喫しました。
ミズバショウ群落は小さな群落ではありますが、本州の南限域と言われており、貴重な生息域です。こうした地道な保全活動により、その生息が守られます。

当日のスケジュール


7:30 ~10:00  JR岐阜駅団体バス乗降場より現地へ送迎(マイクロバス)
10:00        現地集合
10:20~10:25  開会式/オリエンテーション
10:25~12:00  ミズバショウ群落の保全活動
12:00~13:00  昼食
13:00~14:40  ブナ、ヒノキ、ミズナラの天然林内自然観察(岐阜大学位山演習林)
14:40~15:00  ふり返り/アンケート
15:00        現地解散
15:00~17:30  JR岐阜駅団体バス乗降場へ送迎/解散
  

実施内容

当日は、秋晴れの活動日よりでした。木陰に入ると少し肌寒いぐらいです。岐阜からの参加者はマイクロバスにて現地に向かい、近郊の参加者は現地集合でした。

開会式では、森のなりわい研究所の伊藤代表より、ミズバショウ群落の説明や位山峠周辺の自然環境の説明がありました。小さなミズバショウ群落はススキやクマザサに覆われています。地道な作業ではありますが、選定ばさみやカマで下刈りをしていきます。注意をしないと、ミズバショウを踏んでしまいます。奥の方ははしごを掛けて踏まないように注意をしての作業です。
1時間半ほどの作業で、大半の下刈りをすますことができました。
ススキなどを刈り込んでおかないと、枯れたススキの上に雪が積もり、春の芽吹きのじゃまになります。今から来春が楽しみになりました。

お昼から、岐阜大学の演習林での自然観察です。周辺の森林は日本海要素と太平洋要素が混在しブナやヒノキ・ミズナラ天然林が拡がっています。巨木の密度はかつてほどではないとの説明でしたが、ブナやヒノキ、ミズナラの巨木が拡がっています。演習林の山道で、何かを見つけるたびに立ち止まって説明を聞きます。

山道には、ブナの実や栗が落ちており、キノコも多く生えていました。

岐阜の奥山の秋の1日を満喫することができました。






<開会式で、森のなりわい研究所の伊藤代表より、ミズバショウ群落の説明を聞きます>


<はじめは木道の上からの除草作業です>


<ミズバショウを踏まないように慎重に足を踏み入れます>


<慣れてくると作業がはかどります>


<作業終了後のミズバショウ群落 来春が楽しみです>


<午後からはブナ、ヒノキ、ミズナラの天然林内自然観察です>


<林内は陽がこぼれ気持ちの良い空間です>


<何か見つけるたびにみんなで集まります>


<秋の奥山にも可憐な花やキノコがいっぱいです>


<集合写真です>

このイベントで得られたこと

今まで、この小さなミズバショウの群落は下呂市の天然記念物になっており、保全をしていかなければなりませんが、下呂市の中でも山奥に位置する場所で、市民の皆さんの目に触れる機会も多くはありません。
こうしたイベントによって保全していく手だてを考えるきっかけとなりました。遠方からの参加者はもとより、地元での認知や保全の活動を進めていく必要もあります。春には観察会を企画したいと思います。

参加者の声

  • 久しぶりのブナ林の散策が良かった。(60代 男性)
  • 保全活動だけでなく、森林散策で植物に関するいろんな事を知ることができました。(20代 男性)
  • 来年、ミズバショウの咲く時期に見に来たいです。(30代 女性)
  • 山を歩いて実物を見ながら知識を増やすことができました。(20代 男性)
  • 保全活動のあとのブナ林の散策がたいへん楽しかった。(50代 男性)

イベント実施結果

参加者数
12名(大人10名 子ども2名)
アンケート回答数
12名
参加者満足度
100%
実施してよかった点
位山峠のミズバショウ群落は、本州の南限域の群落でもあり、下呂市の天然記念物にはなっていますが、地元でも知られていない場所です。そうした場所での地道な作業でも、今回の活動で保全することができたことや、知ってもらえことが良かったです。

実施して苦労した点

県庁所在地である岐阜市から2時間半以上と遠いこともあり、プログラムの時間配分や調整に苦労しました。岐阜からのマイクロバスの到着は遅れ、現地集合の参加者の皆さんにはご迷惑をおかけしました。

特に寄付が活きたと感じた点
位山峠周辺は、岐阜の中でも車でのアクセスも悪く、公共交通の最寄り駅より、現地までのアクセスが困難な場所です。こうした場所での活動では、交通手段の確保が重要となりますが、自前では、調達できない現状もあります。今回、SAVEJAPANプロジェクトによって、岐阜市周辺からの参加者を招くことができ、今後の保全活動のきっかけになるのではと思います。