SAVE JAPAN プロジェクト 2015

レポート

エコバスツアー2015 吉野川河口域体感!

2015年08月22日(土)実施
  • 両生類

レポート

3年目のバスツアーも満員(総勢27名)で快晴の中、予定していた行程を終えました。今年は、河口域周辺にコースを集中し、距離も少なくし効率的に回るようにしました。おかげで、開催時間は同じで、これまでの走行距離の半分で済み、昼食時間を兼ねて、地元の漁師さんの現場のお話しをしていただきました。漁師さんからは、川と海の環境変化をスライドを見ながらお聞きしました。専門講師2名(歴史1名、沿岸生態学1名)の講義も交えての昼食会(漁師さんから食材提供あり)は、非常に良かったと思っています。過去2年は、同じ7時間で、移動の走行時間が多かったので、参加者の疲労感がありましたが、今回のツアーは、昼休み時間を長くとり、講義と兼ねて、参加者の記憶に残るプログラムに変更したため、スタッフも含めて、満足度は高くなったようです。

・吉野川左岸の河口(彼方に徳島の市街地)             
 

・昼食時、漁師さんの説明

当日のスケジュール

9:30 徳島駅前集合(受付・貸し切りバスに乗車)
9:50 吉野川右岸の最河口視察
10:00 吉野川左岸の最河口視察 
10:20 小松海岸の視察(砂浜海岸)
11:40 藩政時代の防潮堤、鳴門金時栽培地視察
12:00 金毘羅神社の大灯篭(藩政時代、港の目印)視察
12:20 吉野川橋下、橋詰沿岸視察(渡船跡、しおまねき生息地)
13:00 昼食(沖洲コミュニティセンター)
      地元の漁師さんの講演(河口域の環境変化、魚類の変化等)
14:40 沖洲人工海浜(右岸河口の近く)視察
15:00 吉野川右岸グランド傍のお不動さん視察
15:20 吉野川右岸の住吉干潟(毎年夏に親子の観察会の場所)視察
16:00 徳島駅前で解散



実施内容

1.現場視察(午前、午後)
バスツアーは、河口域を中心に回る現場視察プログラムを組み、昼食会・講演会で河口域のお話しをして頂くようにしました。

①午前の部のバスツアー
河口域周辺の環境を知っていただくため、海岸と接する右岸、左岸の河口と隣接する海岸、農業地帯をめぐる他、右岸左岸の川岸にある小規模な干潟を視察しました。干潟では、河川環境の変化でダメージを受けている場所も視察。

・藩政時代の防潮堤と水路(右側は鳴門金時の栽培地)          
     

・砂浜海岸で砂の堆積や浸食を説明

  
②午後の部のバスツアー
昼食後に近くの大規模埋め立てによる海浜公園を視察(隣接して湾岸高速の工事場所も通貨)、吉野川右岸のグランドに隣接する干潟を視察(河口域で最も大規模な干潟で、毎年、定期的に親子や子供たちの体験観察会を実施している場所)しました。

・旧吉野川近くの小さな干潟を視察                   
    

・定期的に観察会をしている住吉干潟を視察


2.講演会(昼食を兼ねて約2時間)
  昼食開始とともに、地元漁師さんからエビ等が提供されたとのお話しを参加者にしました、約20分ほど経過してから、
  3人の講師(地元漁師、郷土史、沿岸生態学)により、スライドを使って、入れ替わり立ち替わりでお話しをして頂きました。
  お話の要点 ①沿岸の状況
          ・川による栄養分と土砂が海へ、温暖化により業種の変化等
          ・河口域の生物の生息状況が徐々に変化(多量の雨、水質の変化、温暖化等)
        ②漁業の状況
          ・トロールと敷網等の漁法による魚種の違いや漁獲量の変化など
          ・市場に人気のある魚貝類(食材に提供されました。)

・集合写真(河口)
  

このイベントで得られたこと

例年どおり満席でしたが、参加者がいっぱいになるよりも、下記のような大きく2つの成果がありました。

1.吉野川河口域のバスツアーの環境体験コースの組み方を確保
例年、7時間に及ぶ移動時間の多いバスツアーでしたが、プログラムを大きく変更し、河口域に集中し、参加者・スタッフの疲労感も軽減され、基本プログラムが成功したと考えています。費用も準備もかかるプログラムですが、1日でわかる吉野川の環境として、今後のツアーの大きな参考になりました。

2.始めて漁業者と連携した講演会
講演だけでなく、昼食の食材も提供して頂きました。もちろん、食材は、漁師さんのお話の話題でもありますが、専門講師2名のお話しを交え
ながらの講演は、とても、充実した時間をつくれました。このコラボによる講演会の方法は、もう少し工夫していきたいと考えています。

参加者の声

  • 漁師さんのお話、人工干潟の話、北岸(左岸)古川の希少生物の話などがきけてよかった。昼食のエビも美味しかったです。 (60代女性、注:昼食時に漁師さんから河口でとれたエビが提供されました。)
  • 地域住民が地域を知らなくなっているので、地域の歴史、文化から自然までを知る取り組みをもっと推進してほしい。
  • 人工の構造物が、自然に与える影響を改めて考えさせられました。(60代女性、砂浜海岸のコンクリート護岸やプロムナードを視察時のこと)

イベント実施結果

参加者数
20名(他スタッフ4名、学識者2名)
アンケート回答数
大人16名
参加者満足度
80%
実施してよかった点
今年は、大幅なプログラム変更で、スタッフ・参加者の疲労感が軽減されました。また、バスツアーの基本プログラムができたので、今後の工夫でさらに改善し、継続していけそうです。
実施して苦労した点
河口域に集中したプログラムにしたため、バスの移動時間と現地滞在時間(専門家のお話しも含む)を組むのが時間距離も短いため、プログラム編成も現地での時間調整も難しかった。ほぼ、予定通りですが、昼食時間開始はやや遅れました。例年とおり、夏場ですので、現地での水分補給(バス車内に、各種飲料水を積載)を欠かさないようにしました。おかげで、今年も無事に終えました。
特に寄付が活きたと感じた点
参加者は、無料(昼食除く)で1台のバスを貸し切り、分野の異なる3名の講師を招聘するプログラムを組むことは、普通の事業では到底できません。おかげで、県内で初めての環境バスツアーは、3年目を終え、ようやく、基本プログラムができたように思います。今後の継続でさらに、工夫していきたいと考えています。この事業を支えてくれた皆さんのご支援に感謝します。