水辺の生き物みつけてみっべ ~春の自然観察会~
レポート
自然豊かな金山町にある山形県遊学の森にて、春に見られる野草や水生生物を観察しました。遊学の森案内人会による説明を聞きながら春の里山を散策し、野草や水生生物を観察しました。
参加した家族連れや大学生は、アサギ(山形県絶滅危惧種)、ウド、ゼンマイ、コゴミ、イタドリ、ショウブ、カキツバタ、ミツカシワ、スミレ類(タチツボスミレ、ツボスミレ)などの草花や、池に住むメダカやヌカエビ、チョウ、カエル、川虫、イトトンボ、トウホクサンショウウオの卵、タニシ等を観察し、自然に触れることを通して身近な自然の大切さを感じていました。
イベント当日は天候にも恵まれ、0歳のお子さんから50代の方まで、計34名の皆様に参加頂きました。
*イベントの様子はスライドショーでもご覧いただけます。下記URLからご覧ください。
https://www.yamagata-npo.jp/archives/15209
当日のスケジュール
9:45 参加者集合、受付開始
10:00 開会式、集合写真撮影
10:10 オリエンテーション
10:15 フィールドワーク 春の自然観察開始
11:45 振り返り、アンケート回収
11:55 講師から講評、まとめ
12:00 解散
実施内容
<開会式>
受付を終えて、準備が整ったら、開会式に臨みました。協賛企業や主催団体から挨拶があり、スタッフからオリエンテーションがありました。自然の中に出かける前に、参加者全員で集合写真を撮りました。
<春の自然観察>
いよいよフィールドワークの始まりです。集合場所の木もれび館を後に、斜面を下っていきました。歩きながら講師がいろんな植物の説明をしてくれました。
斜面には、ゼンマイやウド、コゴミなどたくさん見つけることができました。ゼンマイは土から顔を出し、幼葉を渦巻状に巻いた状態で伸びて来るそうです。この幼葉がワタ状の繊維で覆われているのをいくつも見つけることができました。
また、ゼンマイには雄雌があり、「男ゼンマイ」と「女ゼンマイ」と呼ばれています。「女ゼンマイ」は茎がやや太めで巻いている葉の表面がつるっとしていて少なめです。一方「男」は巻いている葉の部分が膨らんでいて葉の表面がざらついています。これは胞子を飛ばすためだそうです。食べて美味しいのは「女」の方だという説明は興味深く聞いていました。
川を渡り、水辺に近づいて来ました。参加者の皆さんは長靴を履き、網を手にして、どんどん歩いていきます。
途中できれいなスミレが咲いていました。ここのフィールドでは、「タチツボスミレ」や「ツボスミレ」が見られるそうです。ひっそりと可憐な小さい花の美しさに驚かされました。
いよいよ目指していた水辺に着きました。みんな持参した網で一生懸命水の中をすくいました。あれあれ、中をそっと覗いてみると、小さなメダカがたくさんいました。メダカの目の色はきれいな澄み切った青色で、金山町の青空のようでした。小さいエビもいました。
今回の活動のフィールドのビオトープの全景です。
ビオトープにかかる橋の上から、「アサザ」という山形県絶滅危惧種に指定された植物の観察をしました。イモリもたくさん棲んでいました。
さらさらと流れている川の中もじっくり観察しました。川の中の石を持ち上げてみると、石の裏側に川虫がいました。
これは壊れていて通行禁止になっている橋です。渡れるように整備できたらいいですね。
今日の観察会の成果です。いろんな生き物が見つかりました。蝶も飛んでいました。
観察会を指導してくださった講師の方と、主催団体のスタッフの方です。大変にお世話になりました。木もれび館に戻ってきて、振り返りとまとめをしました。
いい天候にも恵まれて、普段触れることの少ない自然、魚や植物に触れ合うことができました。この美しい里山を整備し、希少生物が生息するビオトープを、次世代につないでいきたいと強く感じました。
次回は、6月8日の夜に同じ場所で「蛍の観察会」を行います。皆様のお越しを心よりお待ちしております。
このイベントで得られたこと
・豊かな自然の持つさまざまな表情を楽しみながら、春に見られる植物や動物の観察を行い、自然を感じることができました。講師の丁寧な説明を聞きながら、直接見たり触ったり、捕まえたり、味を確かめたり、直接体験することができました。自然の不思議や仕組みを学ぶことができて、自然と自分が一体であるということに「気付く」ことで、自然と私たち人間とのつながりを感じ取ってもらうことができました。
・このフィールドで見られる山形県絶滅危惧種に指定された植物を観察できたことで、私達の身近な環境での動植物の現状に気づき、里山の動植物の観点から生態系について学ぶ機会も提供することができました。
・大学生や指導教員、参加した親子連れや講師、地元の環境団体など、年代の幅も広く多様な参加者と交流の機会を得ることができました。大学生は県外出身者が多く、山形らしい場所に初めて来ることができて感動したという声が多く聞かれました。様々な団体と連携したイベントを進めて行くためのノウハウを学ぶこともできたと感じています。
・怪我や事故は何もありませんでしたが、野外のイベントの中で危険予知の重要性も学ぶことができました。
参加者の声
- メダカやイモリを見つけられた。
- 山菜や虫を観察し、自然に親しむことができた。
- 普段触れることの少ない自然、魚や植物を見て感じることができました。
- 自然の中を歩くのが気持ちよかった。普段から子どもと図鑑を見るのが好きなのですが、先生方の話がとても面白く、「これは何?」という疑問にすぐに答えてもらって、楽しかったです。
- いろいろな動植物について丁寧な説明をいただけました。普段自然と関わる機会は少ないので、とても楽しかったです。
イベント実施結果
- 参加者数
- 34名
- アンケート回答数
- 27名
- 参加者満足度
- 85.7%
- 実施してよかった点
・親子での参加に加え、山形大学の学生にも多く参加していただき、様々な年代の方々と交流できました。
・主催団体や地元の環境系のNPO団体など、様々な団体との連携により広がりのある活動となりました。
・講師や参加してくれた主催団体のスタッフ6人が皆、知識や経験が豊富なため、参加者の質問にも直ぐに対応いただけて、参加した方々の満足度の高い結果となりました。
・講師一人にサブ講師2人で、参加者を3グループに分けて、自然の中を案内したため、どこの位置にいても講師の説明の声が届き、植物や動物を間近に観察することができました。
・「アサギ」という山形県絶滅危惧種に指定された植物を観察し、説明を聞いたことで、身近にある自然の大切さに気が付き、これらを守っていきたいという、環境に配慮した敏感な視点を持つことができました。- 実施して苦労した点
- ・年度の切り替え時期と大型連休の間の広報活動に苦労しました。
- 特に寄付が活きたと感じた点
・イベントの周知のために作成したチラシとポスターを県域に広めることができ、山形県最上エリアの外からの集客にも繋げることができました。それら参加者がこれまで知らなかった県内の自然環境に触れる機会を設けられたという点は、大変有益であったと思います。
・プロジェクト事務局より提供されている名札シールが、参加者の動きを把握する上で役立ちました。そして講師陣からは、首にぶら下げるタイプの名札ではなく、シールであるという点で、活動する際の安全面において好評を得ました。
メディア掲載
・2019年5月12日(日)読売新聞 山形版に掲載
・2019年5月12日(日)山形新聞に掲載- 主催・共催
<主催>
遊学の森案内人会
<共催>
NPO法人山形の公益活動を応援する会・アミル
山形市市民活動支援センター
- 協力・後援等
<協力>
認定NPO法人日本NPOセンター
NPO法人ネイチャーアカデミーもがみ
<後援>
山形県教育委員会
金山町教育委員会
- 協賛
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社