佐鳴湖にひそむ曲者を探せ!
レポート
まずはこの日開催された「浜松水辺を愛する会」の魚類調査に参加させていただき、佐鳴湖にいる生き物を観察しました。
その中でも、佐鳴湖周辺でよく見かけるカメやカエルなどの「外来生物」についても考える場を持ちました。
その後、入野協働センターの調理室に移動し、調査で獲れた魚の一部をみんなで料理して、美味しくいただきました。
佐鳴湖の豊かな恵みと、その課題について、「見て、触って、味わう」イベントとなりました。
当日のスケジュール
9:10 開会あいさつ、観察の注意
9:30 佐鳴湖の生き物調査&観察
10:30 生き物の解説、外来種のお話
11:00 入野協働センターへ移動
11:30 獲れた魚をみんなで調理・試食
13:00 ふりかえり、かたづけ、解散
実施内容
定置網は入野漁協のもの。そう、佐鳴湖には「漁協」があるんです!
大きなスズキやカムルチーに混ざって、ミシシッピアカミミガメもたくさん上がりました。アカミミガメは甲長20~30㎝ぐらいのものが9匹!「ミドリガメ」として売られている子ガメに比べて、かなりボリュームがあります。
佐鳴湖ネイチャークラブが開催する「佐鳴湖水族館」におじゃまして、獲れた生き物の解説を聞きました。
解説は、静岡大学で佐鳴湖の研究をしている戸田三津夫先生。
佐鳴湖は、浜名湖を通して海水が上ってくる汽水湖で、潮の満ち引きもあります。
そのため、塩分が苦手なブラックバスやブルーギルは住めません。
平均水深が2mと浅く、大雨が降ると一気に塩分が下がって淡水湖になってしまうため、淡水に耐えられない海の魚を排除します。
こういった汽水⇔淡水の環境変化のため、汽水もOKな淡水魚と、海と川を行き来するウナギのような魚や、時々浜名湖から上ってくる海水魚、川から流れてきた淡水魚が混在する生物多様性の高い湖であり、調査では毎回獲れる魚が違うとのこと。
今回記録された生き物は、
海水魚:カライワシ、サッパ、コノシロ、ボラ、スズキ、ヒイラギ、シマフグ、ゴンズイ
汽水魚:ニホンウナギ、アユ、カワアナゴ、アシシロハゼ、ビリンゴ、ウロハゼ
淡水魚:ギンブナ、オイカワ、モツゴ、ニゴイ、ミナミメダカ
エビ類:テナガエビ、シバエビ、ヨシエビ、ウシエビ
外来種:カムルチー、ブルーギル、ミシシッピアカミミガメ、ウシガエル(オタマジャクシ)
2日前に大雨が降ったので、淡水の魚ばかりかと思いきや、意外と海の魚も獲れました。
湖の中にはいないウシガエルは、近くの川や池から流れてきたようです。
次に、今回のテーマ「曲者」、湖の中や周辺にたくさんいる「外来生物」について話をしました。
湖の中にも外にもアカミミガメ 湖周辺の池はウシガエルだらけ 西岸に跋扈するソライロアサガオ
外来生物は、生き物本来の分布を超えて、人が持ち込んだもの。
生き物はその土地で一生懸命生きているだけ。
でも、問題を起こす外来生物を放っておくと、さらに問題が拡大してしまう。
悩ましい問題です。
ヒトの都合で持ってきたり、不都合になると駆除したり。
これ以上、「曲者」を増やさないためには、どうしたらよいのでしょうか?
アカミミガメは自然への影響も大きく、今年3月に「緊急対策外来種」に指定されました。
飼育している人も多いので、飼うことを禁止するとカメを捨てる人が増える心配があります。
なので、捨てない、広げない、最後まで飼うことをお願いしました。
後半は、調査で獲れた魚をお裾分けしてもらい、調理室へ。
まずは、今日最大の穫物、76㎝、4.08㎏のスズキの解体ショー。子どもたちの視線が熱い!
スズキのアゴを開けてみたり、ざらざらする唇に触ってみたり、興味津々!




スズキとモロヘイヤのスープに、おにぎりがついて完成!いただきます!!
量は結構あったはずですが、あっ!という間にきれいさっぱり完食していました。。。
佐鳴湖は、2001年~2006年まで水質が全国ワースト1という不名誉な記録があり、
未だに「汚い」というイメージが残っています。
「佐鳴湖の魚が食べられるの?」と聞かれることもしばしば。
でも、今回参加した人は、佐鳴湖の豊かな自然を目の当たりにし、舌鼓をうち、イメージが随分変わったのでないかと思います。
この身近な自然をどう維持していけばよいのか、外来生物のことも含めて考えていただけたら幸いです。
参加者、関係者のみなさま、どうもありがとうございました。
参考:
環境省 しっているかな?外来生物
環境省 「アカミミガメ対策推進プロジェクト」
NPO法人生態工房 アカミミガメ問題Q&A
このイベントで得られたこと
・捕まる生物の中で外来種のパーセンテージが多いことを改めて実感できた。
・地元で生物保全のための他団体の地道な活動も知ってもらう事ができた。
参加者の声
- 身近に生きている魚も食べて、味が売られている魚と変わらないというのがよかった。これから気にしていきたい。(20代男性)
- 実際に見て、触って、食べてと体験が多く、また初めて知ることが多いのも満足でした。(40代女性)
- 魚類調査では何が獲れるか分からない期待感があり、期待以上の魚がとれ、食べても美味しかった。(50代男性)
- 佐鳴湖に生息する生き物たちをこんなにたくさん目にしたのは初めてでした。先生の詳しいお話もとても興味深かったです。魚もとても美味しかったです。(30代女性)
- 身近な佐鳴湖で、いろんな生物がいることを知ることができた。ペットショップでかわいいカメを買ってはいけないことを、目で見てよくわかった。(40代女性)
イベント実施結果
- 参加者数
- 26名(大人14名、子ども12名)
- アンケート回答数
- 17名(大人10名、子ども7名)
- 参加者満足度
- 80%
- 実施してよかった点
- ・佐鳴湖の生物の豊かさが実感できた。
・調理することで、魚に触る、味わうことができた。
・佐鳴湖の外来生物や、外来のペットについて考える機会を提供できた。
・外来種に特に関心を持たず来た参加者もいたが、関心を持ってもらえた。 - 実施して苦労した点
- ・当日は定置網に何がかかるか予測出来ない部分があったので、外来種を食べて締めくくりたかったが、結果的に食べられる外来種があがらなかった。
・対象年齢を明記しなかったので、学齢前の子にはちょっと難しかったり、退屈になってしまった。 - 特に寄付が活きたと感じた点
- ・専門家を招き参加者に分かり易い解説を提供する事が出来た。
・観察に終わらず調理・食事まで提供したことにより、参加者の満足度が高かった。