SAVE JAPAN プロジェクト 2023-2024

レポート

山焼き準備と茅刈り体験

2023年12月02日(土)実施
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レポート

いつもより早い降雪の影響により、当初の予定日を2週間延期した2023年12月2日。真庭市蒜山上徳山地区で山焼き準備と茅刈り体験が開催されました。朝は小雪が舞う中、午前中は31名の参加者で春に行う山焼きのための防火帯造りを行いました。

 午後は参加者の入れ替わりなどもあり、全体では前年とほぼ同じ40名の参加者でした。参加者の所属や年代、居住地域も様々で多様性に富み、昨年と同様に関心の広がりがあることを確認しました。

午前中に行った山焼きのための防火帯づくり作業を通して、人々の伝統的な生活様式の理解とここにしかいない希少生物の維持につながる活動を体験しました。午後のすすき原での茅刈り、束づくり体験と束を利用した屋根葺きの見学は、暮らしと自然、産業の関わりの理解を深めることに繋がりました。

当日のスケジュール

07:45     岡山駅西口バス乗り場集合

08:00     岡山駅西口バス乗り場出発

09:30     山陽高速道蒜山IC着(トイレ休憩)

09:45     チェーン脱着場移動、参加者受付

10:00-12:00   作業前説明、作業場所移動、防火帯草寄せ作業

12:00-13:00   茅場近くに移動してお昼休憩(ひるぜん焼そばとおこわ、しし汁)

13:00-13:30   休憩及び茅葺構造の解説

13:30-15:00   茅刈、束ね作業

15:00-    仕上げ作業(島立て)、まとめ

16:00     集合場所に到着、解散

16:15     道の駅「風の家」トイレ休憩後出発

18:00頃    岡山駅西口バス到着

実施内容

冒頭、主催団体である蒜山自然再生協議会より、同地区での自然再生と維持活動の概要とその意義について説明がありました。昔は牛のえさ場や茅葺屋根の原料採取地として活用されていた草原ですが、ライフスタイルの変化や同地区の就農人口減少や高齢化などの影響により、それまで人々の手入れによって維持されてきた蒜山地域の自然が危機的状況にあります。そこで、先人の自然資源利用の知恵と技術を受け継ぎ、今の時代に合わせた形で自然の恵みを感じられる場や自然資源を利用した生業を作り出すこと、蒜山地域の自然環境を再生させることを目的に協議会が設立され、地域の人々や地域外のボランティアを募って草原の維持活動を行っています。

毎年、草原の草刈り・山焼きを行うことで、地球上この地区にしかいない昆虫フサヒゲルリカミキリや,
県内では最大の群落となったサクラソウの自生地を守ることができるのです。今年も県内だけでなく、広島や鳥取、兵庫など県外からの参加者も加わって草寄せの活動を行いました。



作業前のミーティングの様子

山焼きを行うには、類焼をしないために8~10mほど幅の防火帯を造る必要があります。春の蒜山は、強い風が吹いたりするので、防火帯を造らないと山焼きができないようになっています。小高い丘となっている斜面地で、左右二手に分かれ、事前に刈ってあった草やササを防火帯の内側に熊手やフォークを使い寄せていきました。

急な所では、30度近い勾配もあり地面に雪が残る中、地面が滑りやすくなっており、転落しないように気を付けながら作業を行いました。急斜面で作業する班は靴にスパイクを取り付け、斜面に掛けた梯子を登って草を寄せていきました。草寄せと言っても笹もあれば、栗の小木の枝も茅など様々な植物があります。根っこに熊手が引っかかったり、小石が絡んだりと一搔きごとに力のいる作業です。石の除去も作業の安全確保に欠かせない重要な作業のため丁寧に防火帯の外に運び出しました。気温は当初3℃でしたが、だんだん温度もあがり、汗をかくくらいでした。とはいえ、当日の最高気温は7℃くらいまでしか上がりませんでした。



作業準備でスパイク装着




急斜面を登って作業を行います




足元に注意をして草を集めます


斜面を上り詰めるとなだらかな台地になっており、幾分作業がしやすくなりました。約1時間半ほどの作業で
草寄せが完了し、防火帯が出来上がりました。



頂上付近での草寄せ作業



お昼には、ご当地名物ひるぜん焼そばとおこわの弁当とジビエ しし肉(猪)の入った味噌汁をいただきました。



地元の猪肉もとても美味でした

 

午後からは、すすき野(茅場)が作業フィールドです。36名が参加しました。兵庫と広島から参加された茅葺き職人のお二方から、茅葺き屋根の葺き方や手入れの仕方、専用の道具を使ったデモンストレーションを見せていただきました。



茅の面を平らにする作業




挟みで刈り揃え 水はけを良くします


そのあとは、蒜山茅刈出荷組合の5人の方に指導を受け、茅刈りを行いました。茅とはズバリ、すすきの事です。

2m以上の茅を片手で束ねながら、利き手で鎌を使って刈っていきます。中に他の植物が混入しないように分けながら刈ることが大切。鎌で自分の足を伐らないように利き手側の足は後ろに下げ、刈っていきます。

刈った後は短い丈のものを除き揃えて、オリジナルの束ねる器具を使い直径20cmくらいの束になるように紐で縛っていきます。一束1200円で販売をされているそうです。



すすき以外の植物が入らないように刈っていきます




すすきを刈った後の束ねの作業が重要


1時間ほど作業を進め茅の束が30以上できました。休憩には蒜山特産クロモジ茶をいただき、茅葺の束を自然乾燥させるために茅立てをしました。



立てた茅束をバックに記念撮影 みんなの力の結集の成果です。

生物多様性に貢献し、自然と共に暮らすことの意味合いを作業で体験した1日でした。




このイベントで得られたこと

 幅広い年代層に草原の自然を利用したライフスタイルを経験してもらい、同時にそれが地域の生物多様性の維持につながっていることまた、なりわいの一部にもなることを知ってもらう機会の提供が出来ました。

参加者の声

  • 地元の方(蒜山茅刈出荷組合の方々)と交流できたことがよかった(40代)
  • とても良い活動に参加できた。頑張った。汗をかいた。(50代)
  • 楽しく参加させていただきました。都合をつけて参加していこうと思います。ありがとうございました。(60代)
  • 景色が綺麗とても良かった。適当な運動にもなった。猪肉が美味しかった。達成感があった。(20代)
  • 非常にやりがいがあり、サクラソウの開花の時期はぜひ見に行きたいと思った。(20代)

イベント実施結果

参加者数
40名(運営スタッフ含む)
アンケート回答数
8件
参加者満足度
88%
実施してよかった点

普段、体験する機会がない作業を提供できたこととプロフェッショナルにより茅葺屋根の作り方を見てもらえたこと、ならびに地元の特産の料理を参加者に提供できたことは成果と考えます。また、地元を中心に多くの組織が関わって実現できたことは、今後の継続開催に希望が持てます。

実施して苦労した点

晩秋の蒜山地域の天候とイベント日程の調整が大変でした。初体験の参加者が多い中、安全管理も注意を払いました。

特に寄付が活きたと感じた点

天候の影響も重なり、厳しい環境である作業場所では、寄付によって購入したスパイクが大きく活躍しました。40名の参加者全員に熊手などの作業道具をもれなく提供できたことも、作業の効率アップに繋がりました。

メディア掲載

真庭いきいきテレビ
主催・共催

真庭市
蒜山自然再生協議会
蒜山茅刈出荷組合
山焼き隊
重井薬用植物園

協力・後援等
特定非営利活動法人 岡山NPOセンター
協賛
損害保険ジャパン株式会社