SAVE JAPAN プロジェクト 2023-2024

レポート

「蒜山の草原を守ろう!」 山焼き(火入れ)草原保全活動

2024年04月06日(土)実施
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レポート

岡山県真庭市蒜山(ひるぜん)上徳山「鳩ヶ原」地域でのボランティアによる山焼きは、今年で6年目を迎えました。今年も3か所での山焼きを3日間かけて行いました。

当日のスケジュール

<3日間のスケジュール>

08:00 受付、活動準備、作業説明など

08:30 現地移動

    ~現地にて準備確認など、山焼き作業開始

13:00~13:30 鎮火、山焼き終了、移動

13:30~14:00 解散・昼食

実施内容

山焼きは、生活の糧であった茅狩場(家の屋根用)や牧草地(牛を使った農業)を継続して利用するためにずっと昔から行われてきました。しかし、ライフスタイルの変化や住民の減少、高齢化から山焼きをするエリアは大幅に減ってしまいました。急斜面があるエリアで続く山焼きは、非常に珍しいケースです。

 ここ鳩ヶ原には、繰り返し行われる山焼きによって維持されてきたこの地域ならではの生態系があり、稀少な植物であるサクラソウ、ユウスゲ、ワレモコウなどが自生しています。
ボランティアによる山焼きなどの年間活動の成果として、サクラソウの自生地は6年前に比べて約3倍に広がりました。サクラソウの集団自生地を見ることは稀になっていると言われており、貴重な場所なのです。

また、ユウスゲがないと生息できないフサヒゲルリカミキリは、日本では現在ここでしか見られない希少生物です。メスはユウスゲの花茎に産卵し、幼虫はそれを食べて育ち、根茎内で越冬、翌年に 外で蛹化し、羽化します。この鳩が原には、ユウスゲが生息しやすい湿地~草地まであるので、ここで山焼きを行うことは、上記の様な絶滅危惧種を守る貴重な活動と言えるのです。

山焼きを行うには、自治体への事前計画書の提出が必要です。日時、場所、山焼きの人員配置計画などの詳細な資料を作り、同時に消防署への事前連絡も行います。
計画した区画を焼くのは山焼き、計画外の場所が燃えるのは山火事です。広い面積を焼くために、予定外の場所への飛び火をすぐに消火できる多数のボランティアが不可欠なのです。焼く区域の広さにより、必要な人数が決まっているために、ボランティア確保が山焼きの基本となります。

山焼きは、天候にも左右されます。雨が降れば草木が燃えない、晴れていても朝露が乾くまで待たないといけない。風が強すぎれば、中止せざるを得ない、風向きによっては、火付けの場所や順番が変わるなど同じ山焼きは2度とないと言われるほど、繊細でち密な計算と行動が求められます。死者が出ると2度とこの場所で山焼きができなくなるため人命第一での行動が求められます。
ボランティア参加者は、3月半ばにWEBで事前研修を受けて参加しました。内容は山焼きの意味、方法、ボランティアの役割や当日の服装に関するものです。

今年の山焼きは3日とも快晴に恵まれ、初日の4月6日は、ほぼ無風状態でした。1週間前から雨もなく、草は乾燥状態で昨年に続き、何年に1回という恵まれた天候でした。

(ヘルメット、ゴーグル、防塵マスク、皮手袋を身に着けて作業の確認)

県内外から初日は約70名、2日目3日目は約40名のボランティア参加者が、早朝8時前に集合しました。岡山駅からもボランティアを乗せるバスを、乗車希望のあった2日程で運行しました。

火つけ係は赤のヘルメット、ボランティアリーダーは青、一般ボランティアは白と、色で役割分担を行います。事前説明で安全管理や班分け、自分の役割を確認し、消火水を積んだトラックやワゴンで約1.5㎞ほど移動します。
山焼きの現場近くに着くと、用意されたジェットシューターをそれぞれ背負います。重量は20kg近く。背負い式のポンプ消火機で、水が20Lほど入ります。
毎度のことですが初めての参加者が多いため、背負うのも一苦労です。そこから尾根沿いに歩き、点火地点に到着しました。


(道がないところは自然保護のために徒歩移動をします)

飛び火を消すためのジェットシューターの使い方のレクチャーを受けた後、ボランティアは二手に分かれ、約10m間隔で待機します。斜面は急こう配のため、側面を進む組は装着式スパイクを靴につけて作業を行いました。


(ジェットシューターの使い方のレクチャー)

消火係を担うボランティアが気を付けるのは、「目の前の火だけではなく、自分の背後にも気を配ること」。風による飛び火で後方の林が火事になるリスクを、いつだって意識しておく必要があります。
9時30分過ぎから点火しました。風向き、火の広がり方、地形の違いなどを考慮し、トランシーバーで連携を取りながら、赤ヘルメットの担当者が火を点けていきます。

火つけは、尾根の上部から行います。横に焼き進むことで防火帯ができます。
そして、火付け役が下に降りて火をつけていきます。台形の上辺を焼き、次に斜めの辺を焼き横に広げて最後は、底辺から上に広がるように燃やしていきます。


(燃え広がりやすいように枯草に火を点けていきます)

消火ボランティアは重いジェットシューターを背負い、火の回りに合わせて横に広がりながら移動をして行きました。体力に合わせて水を抜いたり、ジェットシューターを降ろしたりしながら、約4時間。移動や停止して火勢の見守りと背後への飛び火に気を配りました。

この日は風向きが理想的で、山の上から下に向かって風が吹いたため延焼の心配はほとんどなく順調に進みました。それでも一時は5mほどの炎が上がることもありました。ヘルメットにゴーグル、そしてヘルメットの下は顔を隠すようにタオルで肌を覆うのですが、それも炎が寄ってくると顔に熱さを感じました。

順調に山焼きが進みました。寒さはそれほどでもなかったので良い山焼き日和でした。焼けた跡の一面は黒々と色変わり爽快感がありました。


(道が狭い部分は5m間隔に並び背後の飛び火を警戒します)


(火つけは風向きを見ながら連絡を取り合い慎重に行います。)

初日は、午後2時頃に鎮火し、2日目・3日目は、1時前に鎮火しました。昼食は予約したひるぜん焼そばを配布しました。特に3日目の13日は焼き立てのひるぜん焼そばをいただくことができ、食べた参加者は大いに満足をしていました。


(3日間の山焼きが無事終了しました。ひと月もすれば山は一面の緑に変わります)

このイベントで得られたこと

・県内外から多くのボランティア参加があった。

・事前WEB研修により、この活動の意義や注意すべきことを参加者に伝えられた。

参加者の声

  • 環境を直接的に救える機会は中々なかったので、自然に携わる事が出来たのが満足でした。(20代)
  • 初めての参加でもジェットシューターを背負って前線に立つことができ、良い経験ができた。 車を持っていないので、岡山駅からの送迎を準備していただいたのも有り難かったです。(20代)
  • 山焼きを通じて蒜山の歴史と文化を知ることが出来た。(40代)

イベント実施結果

参加者数
4月6日 73名(関係者スタッフ20 名) 4月7日 36名(関係者スタッフ10名)    4月13日 44名(関係者スタッフ15 名)
アンケート回答数
48件
参加者満足度
85%
実施してよかった点

希少種の保全という普段接する機会の少ない取り組みに、参加者が体を動かして関わることで、その意義などを感じてもらうことができた。
ボランティア参加者が多くいた中でも、草原の保全に関心のある学生が実際の現場での動きを体感することができたことが特に良かったと感じています。

実施して苦労した点
予定時間として案内していたものよりも時間が過ぎてしまった。
自然相手であることを主催者側は念頭に置いてあるものの、ボランティアスタッフとしての参加者にそこまでの共通理解を持ってもらうことが難しく、一部参加者の満足度低下の要因となってしまった。
特に寄付が活きたと感じた点

・岡山駅からのチャーターバスの運行により、交通手段がないことが参加の障壁となっていた部分をカバーすることができました。県外から参加の方もいました。

・バスには高校生も乗車をし、大学進学で自然に関することを学びたいと考えていたため、今回の活動への参加をとても喜んでくださっていました。若い人材の参加機会創出にもつながっていたことが実感できました。

メディア掲載

・山陽新聞

・津山朝日新聞社

・日本テレビ「音のソノリティ」

主催・共催
蒜山自然再生協議会
津黒いきものふれあいの里、
重井薬用植物園
協力・後援等
特定非営利活動法人 岡山NPOセンター
協賛
損害保険ジャパン株式会社