SAVE JAPAN プロジェクト 2018-2019

レポート

シンポジウム「新潟県の野生鳥獣と人間の共生」in上越

2019年09月28日(土)実施
  • ほにゅう類
  • 森林
  • 里山
  • 高原

レポート

近年、生息環境の変化により中山間地域だけでなく市街地においても、野生鳥獣の目撃件数や被害件数が増えています。
しかしながら、ツキノワグマは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種(VU)に指定され、環境省のレッドリストにも掲載されている生物です。
また、ニホンカモシカは地域在来の生物でもあります。
今回、新潟県では野生鳥獣の生息調査及び被害対策の支援活動に取り組むNPO法人新潟ワイルドライフリサーチと協力し、「野生鳥獣と人間の共生」をテーマにイベントを開催しました。

9月28日は、ツキノワグマやカモシカを取り巻く現状や対策をテーマにシンポジウムを開催。
地域住民、行政、NPO等などから62名が参加し、希少生物の保護や地域の環境保全について考えました。

当日のスケジュール

12:30 受付開始
13:00 開会

▼講演
①野生鳥獣の出没と被害の現状
NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ 会長 山本麻希

②野生鳥獣の分布と生息の状況
NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ 副会長 望月翔太

③遭遇時の対処方法について
株式会社うぃるこ 清水あゆみ

▼パネルディスカッション
「野生鳥獣と人間の共存について」

17:00 閉会

実施内容

NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ会長の山本麻希さんが、新潟県内のクマやシカの生息状況及び生態について解説しました。

望月翔太さんからは、全国や新潟県内の野生鳥獣の分布と生息状況の調査方法についても紹介がありました。

実際にツキノワグマとの遭遇したときの経験を話す、清水あゆみさん。
遭遇時の対処として、原則は「回避と防御」。
「背中を向けて走るのではなく、うつ伏せになって、首・頭・身体の中心部を手で押さえて守ることが重要です」と話します。

パネルディスカッションでは、参加者からの質疑応答も交えながら県内での対策等について活発な意見交換が行われました。

このイベントで得られたこと

ツキノワグマやカモシカの生息状況、共存に向けた取組みと課題等を学ぶことができた。
・中山間地域の人口減少や気候の変化により、ツキノワグマの出没件数が増加したり、人身被害を出す新しいタイプのクマが出てきてしまっている。
・県内では、カモシカによる被害も増加している(今後も増える見込み)。
・ツキノワグマはとても賢いので、里山の整備や適切な学習放獣を行えば被害を少なくしていける。
・ツキノワグマに遭遇したときは、適切な対処方法をとることで被害を最小限に抑えることができる。

参加者の声

  • こういった野生鳥獣の問題に取り組んでいる方々がいらっしゃることを知り、心強いと思いました。
  • ツキノワグマの生態は知らなかったので、大変参考になりました。
  • とても興味を引く内容で、時間を忘れるくらい有意義でした。
  • ツキノワグマの生態だけでなく、環境保全問題も学べて勉強になりました。
  • 普段環境保全に対する問題意識が低かったが、今後このテーマを考えるよいきっかけとなりました。

イベント実施結果

参加者数
62名
アンケート回答数
49
参加者満足度
82%
実施してよかった点
・ツキノワグマやカモシカなどの野生鳥獣との共生について、地元住民や若い世代に関心を持っていただけました。
・野生鳥獣の対策に取り組む団体や人たちの活動を知ることができました。
・ツキノワグマに遭遇してしまったときの正しい対処法をしることができました。
実施して苦労した点
・シンポジウムはフィールドに出れなかったため、途中参加者の関心が薄れてこないよう工夫した。
(動画やはく製の展示、上越市から実物サイズのはく製を借りるなどした)
・今回は、上越地域の地域住民も多かったかめ、このテーマをより身近に感じてもらえるよう工夫した。
特に寄付が活きたと感じた点
・今年中心市街地にクマが出没したばかりで関心も高い上越市でイベントを開催することができました。
・上越市内の小学校(約20校)の児童へチラシを配布することができました。
・若い世代のみなさんに参加していただけました。
(実施団体も、普段同様のイベントを開催するときの参加者層と異なり驚いていました。同時に、若い世代に知ってもらえることを喜んでいました)

メディア掲載

上越タイムス「NPOPRESS」
朝日新聞社(長岡支局)
主催・共催
NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ
NPO法人くびき野NPOサポートセンター
協力・後援等
上越市(環境保全課)、妙高市(環境生活課)、公益財団法人こしじ水と緑の会、生物多様性保全ネットワーク新潟
協賛
損害保険ジャパン日本興亜株式会社