SAVE JAPAN プロジェクト 2023-2024

レポート

「サクラソウと蒜山の春」&「フサヒゲルリカミキリのレストランをつくろう!ユウスゲ苗の移植活動

2024年05月06日(月)実施
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レポート

 荒天により当日にイベントの中止連絡を行ったため参加者が著しく少なかったですが、両イベントともなんとか形になりました。

午前中のサクラソウなどの春の植物の観察会ではサクラソウが盗掘される危険性について実感することができ、また室内の勉強会では多様なサクラソウの花の形態や、短花柱花の集団と長花柱花の異なる集団とがマルハナバチの花粉媒介により受粉することで初めて種を作ることができるなど、サクラソウの特殊な生態についても深く理解することができ、勉強になりました。午後のユウスゲの植栽では、草原の中でユウスゲが満開になりフサヒゲルリカミキリの生息数が回復している様子を思い浮かべつつ、少人数でたくさんの苗を植栽するために時間を忘れて作業に没頭しました。今後、実際にユウスゲが数多く咲き、フサヒゲルリカミキリの数が増えていくのかどうか、楽しみです。

当日のスケジュール

1.「サクラソウと蒜山の春」

09:45  
 チェーン脱着場にて、参加者受付開始

10:00-10:45  
 鳩ヶ原のサクラソウ自生地へ移動、サクラソウやサクラスミレなどの希少植物を観察

10:45-11:00  
 参加者各自の車両で、シェアオフィス蒜山ひとときに移動

11:00-12:00  
 サクラソウの詳細資料配布および解説、「サクラソウ保護専門員」および「サクラソウ保護巡視員」の委嘱式の実施

 

2.「フサヒゲルリカミキリのレストランをつくろう!ユウスゲ苗の移植活動」

13:00-14:30  
 ユウスゲ苗300株を植栽

実施内容

前日夕方5時の予報では小雨となっていたため予定通り実施することにしておりましたが、当日朝8時の時点で現地は雨と強風に。屋外での作業は難しいと、主催団体である蒜山自然再生協議会が判断したことから中止することとなり、参加者にはメールまたは電話で中止連絡を送ることとなりました。ただし連絡と前後して移動をされていた方もおり、集合場所に3名の参加者が来られたこと、集合時間になって天候がやや回復したことに加え、真庭警察署川上駐在所からサクラソウパトロールの関係で警察官が1名、岡山県自然環境課から「サクラソウ保護専門員」および「サクラソウ保護巡視員」の委嘱式実施を兼ね職員が3名、取材でまにわいきいきテレビから1名が来られていたことから、集まった方のみで、可能な範囲でイベントを実施した。

1.「サクラソウと蒜山の春」

サクラソウの生育地に移動したのち、主催団体である蒜山自然再生協議会の委員である重井薬用植物園園長の片岡氏より、サクラソウの外見的特徴や生態について解説が行われました。

サクラソウは環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧種に指定され、岡山県レッドデータブック2020では絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。岡山県内では真庭市,新見市,高梁市に分布しますが,真庭市以外の集団はほぼ壊滅状態となっていることから、岡山県希少野生動植物保護条例により、平成21年4月から指定希少野生動植物の1つに指定、個体(種子を含む)は、捕獲、採取、殺傷又は損傷することが原則禁止となっています。違反すると罰金または懲役刑が科せられます。
岡山県希少野生動植物保護条例

蒜山地域では、蒜山山焼き隊や蒜山自然再生協議会が中心となって山焼きや草刈りを行うことにより、サクラソウにとって生育しやすい草原環境を維持していることから、県内最大の生育地となっています。

しかし残念なことに今回、自生地内で2株程度盗掘されたと思われる箇所が発見されました。片岡氏からは「1株採っても何も言われなかったから大丈夫だろう」と、盗掘がエスカレートする恐れがあるという懸念と、怪しい人をみかけたら条例違反の恐れがある旨の声掛けに協力してほしいとのお願いが参加者に伝えられました。その後、参加者全員で他にも盗掘が無いかどうか入念にチェックして回りました。





(サクラソウの解説を聞きながら観察)

風雨が強まってきたことから、シェアオフィス蒜山ひとときに移動し、室内にて岡山県主催の委嘱式を行いました。「サクラソウ保護専門員」に片岡氏、「サクラソウ保護巡視員」に真庭市立津黒いきものふれあいの里館長の雪江氏が委嘱されました。


(委嘱を受ける片岡氏)



(委嘱を受ける雪江氏)

その後、片岡氏の解説により、サクラソウの繁殖について学ぶ勉強会を行いました。


(勉強会の様子)



(勉強会で紹介された多様なサクラソウの花弁の形態)

 以上のイベントの様子は、まにわいきいきテレビのYoutubeチャンネル「サクラソウ盗掘防止パトロール」にて公開されています。


2.「フサヒゲルリカミキリのレストランをつくろう!ユウスゲ苗の移植活動」

午後からはスタッフ4名と参加者2名で植栽予定地に集合し、ユウスゲ苗の植栽を行いました。ユウスゲはフサヒゲルリカミキリの唯一の食草であり、産卵場所や越冬場所としても使われるなどフサヒゲルリカミキリにとって無くてはならない植物です。フサヒゲルリカミキリは、環境省の国内希少野生動植物種に指定されており世界中で確実に生息が確認できるのは蒜山のみとなっています。その生活史上、依存度の高いユウスゲの株数を増やすことは、フサヒゲルリカミキリの生息数を増やし絶滅のリスクを低減させていくのに重要となります。

そのため重井薬用植物園では、蒜山に自生するユウスゲの種を採取し、園内で2~3年育苗したのち蒜山自然再生協議会や津黒いきものふれあいの里とともに自生地に植栽する活動を行っています。今回は剣先スコップや移植ごてを使い、1時間半ほどの時間で300株を植栽しました。

今後は5月下旬から6月上旬にかけてフサヒゲルリカミキリの成虫が発生し始めるのに合わせ、蒜山自然再生協議会主催でボランティアを交えてユウスゲの周りの他の草の草刈りが行われる予定です。ユウスゲの周りの草を刈ることでユウスゲの生長を促すとともに、フサヒゲルリカミキリがユウスゲを見つけて利用しやすくなるという効果があるほか、背丈が高く、草原内で優占しやすいススキなどの草の生長を抑え、多様な植物の生育と、それを餌にする昆虫などが生息しやすくなるなど、生物多様性の向上にも効果があります。



(鳩が原の植栽場所)




植栽されたユウスゲ苗










このイベントで得られたこと

行政や警察など公的な機関に、希少種の保護の現状や課題について直接説明する機会を得られたことは重要な点でした。

イベント実施結果

参加者数
14名(スタッフ含む)
実施してよかった点

普段、なかなか地域の方々に活動をアピールする機会がないので、市内のケーブルテレビ局により、蒜山のサクラソウの現状や蒜山自然再生協議会の活動について、市内で広く報道されてよかったです。

実施して苦労した点

 結果的にイベントの形にはなったものの、当日の急な悪天候により、開催可否の判断が難しかったです。

特に寄付が活きたと感じた点
植栽に必要なスコップなど資材を揃えることができた。

メディア掲載

まにわいきいきテレビ Youtubeチャンネル「サクラソウ盗掘防止パトロール」

5/11山陽新聞デジタル「サクラソウ 岡山・真庭の自生地から盗掘か 県指定の希少野生動植物」

主催・共催
蒜山自然再生協議会
津黒いきものふれあいの里、
重井薬用植物園
協力・後援等
特定非営利活動法人 岡山NPOセンター
協賛
損害保険ジャパン株式会社