SAVE JAPAN プロジェクト 2015

レポート

ラムサール条約に認められた湿地を歩いてみよう!

2015年08月30日(日)実施
  • その他植物
  • コケ
  • 昆虫・その他
  • 湿原

レポート

第1回目の“湿原再生”に向けた取組みに向け、地域の湿原環境を活用した先進的な事例地として、ラムサール登録湿地の大沼国定公園を見学しました。地元遊船会社の方による自然ガイドを受けながら、散策路を歩きました。その後、遊覧船に乗って湖上からラムサール条約に指定された自然を観察しました。大沼にまつわる文学や史跡について知る機会にもなりました。このイベントを通して、地域の湿原環境を再生する一方で、地域外からの視点でも評価される必要性を実感しました。

当日のスケジュール

9:00 受付

9:30 開会、全体説明

(七飯町役場 南北海道大沼婦人会館・林業研修センター)

10:00 フットパス・ウォーク

・大沼国定公園内「小沼」散策路をゆっくりと散策。約3km。

(自然ガイド:大沼合同遊船株式会社)

11:40 遊覧船 乗船

・大沼国定公園内を湖上から見学

12:10 遊覧船 下船

12:15 閉会、解散

実施内容

全体説明の後、大沼国定公園「小沼」散策路にて自然観察を行いました。「小沼」の自然散策路は穏やかで動植物も豊富であるとのこと。コウホネ、ジュンサイなどが茂る穏やかな湖面を眺めながら、大沼国定公園周辺の成り立ちや生息する動植物について説明を受けました。


小沼の代表的な“ビュースポット”でひと休み。駒ケ岳の火山活動によって創り出された湖とそこに浮かぶ小島の数々が、多様な生き物の生息環境となっていることが目に見えてわかりました。ミズナラやブナの大木が茂る木陰をゆっくりと散策することができました。その一方で、特定外来植物のオオキンケイギクがスポット的に生えている所も観察させていただき、人の往来があるなかで従来の自然環境を維持することの意義についても考えさせていただく機会となりました。

 
「小沼」から「大沼」へ10分ほど歩いて移動し、遊覧船に乗り込みました。あいにく駒ケ岳のシルエットは雲に隠れていましたが、晩夏の日差しのもと、浮かぶ小島のあいだを縫うように湖上を楽しむことができました。さきほど歩いた「小沼」の散策路を、水上からみることができ、貴重な自然観察の機会となりました。とくにマガモやアオサギなどの水鳥は、よく観察することができました。


下船後は、歩いて閉会式会場へ向かいました。とくに海外から観光に来られた方と多くすれ違い、あらためて特殊な湿原環境が世界的な価値に結び付いていることを実感しました。また、国内外から広く来訪者を受入れておられる地元の方々の姿勢にも、感心させられることとなりました。

このイベントで得られたこと

南幌町から離れた場所での開催となりましたが、ほろむい七草など南幌町にかつて存在していた湿性植物の再生に向けた活動の方向性は、湿原環境を活用した地域の活性化に向けていくことだと改めて実感しました。このたび大沼国定公園を実際に歩くことで、南幌町で行う湿原の“復元・再生”事業の道のりの長さを実感する一方、その過程の段階から人を呼び込み、事業のファンを増やしていきたいという思いが生まれました。

参加者の声

  • 北海道の大自然にふれて、癒されました。またラムサール条約について改めて勉強しました。動植物の豊富な大沼の大切さを認識して、改めて自然を守っていきたいと思いました。(女性/60代)
  • 小沼の歩道からと大沼の遊覧船のそれぞれから見たし生き物の多様の大切な環境を強く感じた(男性/70代)
  • 日常生活の中では体験することの出来ない経験をすることが出来た。(男性/30代)
  • 普段目にすることがない貴重な自然に、解説付きで、触れることができた。(男性/40代)
  • 希少生物種において環境がいかに大切かということが案内の方の話でよく分かりました。(女性/70代)

イベント実施結果

参加者数
35名
アンケート回答数
30
参加者満足度
82.9%
実施してよかった点

前回行った、南幌町での湿性植物の再生・保全事業では、参加者全員でササ刈りを行いましたが、湿原環境を活用する方向性を共有する機会となりました。とくに国内からの評価(国定公園)と世界的な評価(ラムサール条約登録地)を得ている大沼公園を実際に歩き、湿地の環境とそこに生息する動植物を楽しんで観ることができたことで、今後の活動に向けたモチベーションに繋がりました。

実施して苦労した点

非常に離れた場所での開催となり、スケジュール管理に苦労しました。片道の移動時間が4~5時間程度となることから前泊が必要となったため、これまで主な活動が日帰りであった不慣れから、当日参加と前泊参加の合流時間にずれが生じてしまいました。移動距離が長い場合、当日の不測の事態に備えて、主催者メンバーを予め集合場所に配置しておくか、主催者の移動手段を分ける必要があると感じました。

特に寄付が活きたと感じた点

損害保険ジャパン日本興亜株式会社・南北海道支店から多くの皆様にご参加いただきました。また、バスを借りて大沼国定公園に来ることができ、前回の参加者の方々を含め、南幌町内外の方々に改めて活動の意義を感じて頂く機会となりました。