SAVE JAPAN プロジェクト 2016-2017

レポート

地球の仲間「生き物たちの住処(すみか)づくり」

2017年06月10日(土)実施
  • 両生類
  • 里山

レポート

和歌山市の北西端に位置する大川地区は、国立公園に指定されている地域で、豊かな生態系が残されています。カスミサンショウウオの住処(すみか)を守る活動ののち、磯で生き物観察、そしてジャガイモ掘り体験など盛りだくさん!そして最後にビッグな発見が!

当日のスケジュール

9:30 開会・趣旨説明
9:50 お話
 「カスミサンショウウオの生態」大川博志さん(広島女学院大学)
 「
絶滅危惧種の生育環境を考える」松野茂富さん(和歌山県立自然博物館)
10:30 参加者全員で
崩落斜面の復旧工事のお手伝い
11:30 昼食
12:30 磯で生き物観察・同定
14:30 ジャガイモ掘り体験
15:00 自由行動
16:00 閉会

実施内容


カスミサンショウウオの生態に詳しい大川先生から、カスミサンショウウオの生態についてお話をうかがいました。和歌山県内でも場所によって見られる種類が異なるんだそうです。


県立自然博物館学芸員の松野さん。絶滅危惧種の暮らす環境について楽しくお話をいただきました。


その後は実際に作業を。各自、大きめの石を選んで・・・


列になって運んでいきます。石垣がみえますが、ここははるか昔、自動車がまだない頃の峠道だったところだそうです。


そして石を集めました!


みなさんで運んだ石はこの斜面の修復に使われます。イノシシが駆け回ったり、雨が降ったりして斜面が崩れて、カスミサンショウウオが生息している池に土が流れ込んでいたのです。石を積み上げる作業はこのあと専門家にお願いすることになっています。


松野さんから、カスミサンショウウオの生態について実地で解説いただきました。事前に調べていただいたところ、ほとんどのカスミサンショウウオは陸に上がった後とみられ、残念ながら水中にカスミサンショウウオは残っていませんでした。


お昼を食べてから、潮が引いた磯辺へ下りていきます。


これまでの2ヶ所よりゴツゴツした岩が多い場所なので、足元に気をつけながらの作業になりました。


さて、どんな生き物が見つかったのでしょうか?


こちらはヒトデのほか、ナマコ、ウニが見つかりました!


こちらにはヒトデのほか、ヤドカリがいました。


こちらでは小さな魚がいっぱい!
なかには、緑色で20cm程度の長さの線虫(!)も見つかりました。


生き物観察のあとは、同定作業と解説。この地域の磯辺は国立公園内なので比較的生きものの種類が多いそうです。


幸い、暑さもそれほどでもなく、みんな元気いっぱいに活動することができました!


ここで、共催のNPO法人南海せとうちジオガーデンさんからのプレゼント!敷地内の畑でジャガイモ掘り体験。子どもたちだけではなく、保護者の方のなかにもジャガイモ掘りは初めてという方が多く、みなさん慣れない手つきでしたが、特大のジャガイモが見つかったら一斉に大歓声があがりました。


そして、最後の最後にカスミサンショウウオが見つかりました!陸に上がって間もない個体のようです。みなさん興味深く観察されていました。

このイベントで得られたこと

現代において、希少生物種をはじめ生きものの環境を守るためには、一定程度の人間の関わりが必要であることが強く示唆されました。学芸員のみなさんの巧みな話術もありましたが、カスミサンショウウオが生息する池の環境を守るために、子どもたちが石垣をつくるための石運びのお手伝いをしたことで「自分たちでもできることがある」ということが理解いただけたのではないかと思われます。
また磯に下りると、大阪湾を回遊してきたゴミが多数漂着しているのが目立ちました。人間も危険ですし、生きものにとっても悪影響を及ぼすことを感じていただけたのではないかと考えています。

参加者の声

  • オタマジャクシを見つけたこと(小学校2年生)
  • ウニの観察がおもしろかった(小学校5年生)
  • 希少生物の保護に関して子どもと一緒に色々な事を学ぶことができました。(40代・女性)
  • 話もとてもおもしろくあっという間に時間が経ちました。(30代・女性)
  • 親子とも生物に対する関心が高まりました。(40代・女性)

イベント実施結果

参加者数
32名
アンケート回答数
20名
参加者満足度
73%
実施してよかった点
最後の最後でカスミサンショウウオが発見できたことが何よりよかったです。惜しむらくは自由行動時間中の出来事だったため、すべての子どもが発見の瞬間を見ていたわけではなかったのですが、こればかりは生きもののことですからやむを得ません。
実施して苦労した点
和歌山市の北西端で、和歌山市内在住の方にはほとんど馴染みがない場所での開催となったことで開催場所のイメージを持っていただきづらかったこと、終日のイベントとなったため様々な事情で参加できなかったお子さんが複数いらっしゃったと見うけられ、プログラムの立て方を工夫する必要があると再認識させられました。
特に寄付が活きたと感じた点
カスミサンショウウオを研究している方に遠方からお越しいただけたことが最大のポイントになります。これまでも何度か現地には足を運ばれているので、研究フィールドのひとつではありますが、旅費の負担だけでもそれなりにかかりますので、このご寄附を活用させていただき、負担の軽減につながったことは非常に大きかったです。