SAVE JAPAN プロジェクト 2023-2024

レポート

学習会「生物多様性保全による暮らしの安全」~里山を歩いて楽しみながら学ぼう!~

2024年08月04日(日)実施
  • はちゅう類
  • 昆虫・その他
  • 里山

レポート

第4弾は、学習会と題して、下土師周辺の地図、裏面には周辺エリアの生態系解説付きの2種類の「しもはじ里山マップ」を作成。このマップを片手に「ウォーキングコース」「里山さんぽコース」2コースのガイド付き散策を実施しました。
里山さんぽコースでは、裸足になって田んぼの用水路に入り生き物を見つけながら涼んだり、散策路に蔓延る外来種ニワウルシを抜いて駆除する体験をしながら楽しみました。
また、距離の長い大人向けコースは一級河川「涸沼川」まで足を延ばし、涸沼川に掛かる貴重な沈下橋で古くからある河川の防災技術を見学。歩きながら森・貯水池・田んぼなど里山に備えられた機能や役割を学ぶこともできました。
外来種ニワウルシが生態系に及ぼす悪影響を調べる実験をし、他の植物の成長を阻害する結果が現れたことを発表、全駆除すべき外来種であることを示すことができ、参加者の皆さんと一緒に考える機会になりました。

当日のスケジュール

9:00~   受付開始
9:15~ 開会、オープニング
9:30~ プログラムスタート
9:30~11:30(予定) 各コースに分かれてスタート!
11:30~12:00 報告会(ニワウルシの生態、調査報告)、集合写真
12:00~13:00 ランチタイム 
~14:00 解散 

実施内容

第4弾は、学習会と題して、下土師を周辺としたエリアの自然や生き物観察をしなら散策することになりました。事前に、NPO環~WAの皆さんが散策ルートの調査を実施、オリジナルのマップも作成しました!

半年前から準備を進めてきたオリジナルのマップ。

表面は、キャンプ場を中心に下土師周辺のマップ、裏面は生き物や外来種の解説付き!

当日のガイド役のあらいぐま工房の江橋さんと森っこの宮崎さんの共同制作です。ウオーキングコースと里山さんぽコースそれぞれマップの内容は異なりますが、どちらも魅力的なマップになっています!ウオーキングコースの地図は今後も、キャンプ場で販売予定!

ウオーキングコースはもともと7キロのコースで準備していましたが、連日の猛暑でコースの距離を変更。
受付でコース変更のご案内をしたところ、「7キロは歩くのは難しいけど、4.5キロなら」と参加者の皆さんが受付で変更される様子も・・・。

「せっかくなので挑戦します」という参加者もいらっしゃいました。

さっそく開会式スタート!
参加者は関係者を含め35人。

当日は、暑い日の予報もあり、事前打合せで、伸栄工業株式会社様からドライアイスの用意をしていただきました。このドライアイスは、薄く溶けにくく、3時間ほどの散策でもずっと首元をひんやりさせて熱中症対策にとてもよかったです。

NPO環~WAの大和さん、コモンズの事務局長の大野からも挨拶。
損保ジャパンの皆さん、日本NPOセンターの吉田さんからもご挨拶をいただきました。ありがとうございます。

ガイドのお二人!今日はよろしくお願いします!!

さっそくそれぞれに分かれてスタート!

 【里山さんぽコース】

まずは自己紹介!
参加者の皆さんの表情、緊張やわくわく感が伝わってきます。

途中、カマキリやカブトムシも発見。


「木の樹液に集まってきたのかな?」
虫が苦手なお子さんも距離をとりながら、みていました。

歩いていくと、大きな池がありました。
弁天池といって、ここにも外来種でもあるオオフサモが大量発生。
池にはナマズやアメリカザリガニなども生息しています。



日陰にはカエルさんも。暑い中涼しんでいる様子。


「川で足を滑らせて転んでしまわないようにするにはどうしたいいでしょう」参加者の皆さんと考えます。

 「長い棒をさして深さを確認するのは?」実際に棒でさしてみると思ったより深いことが分かりました。

「池の周りは崩れやすいところもあるのできをつけて歩きましょう」足元を確認しながら歩いていきます。

まだ半分も歩いていない!?先が長い(笑)。マップをみながら現在地を確認して先を進みます。
池を過ぎすると、そこには辺り一面、田園風景が・・・。 

途中、日陰で休憩をしたり、貯水槽の中をのぞいたり、

水田を眺めながら、足を入れてひんやりしたりしながら散策を進めました。

生き物の観察や見たり、触ったり、体験しながらのおさんぽを楽しみました!!
参加者同士がおさんぽをする中でふれあう姿もたくさんみれました。

最後に、昨年にニワウルシの駆除作業を行ったエリアへ。
小さいニワウルシが残っていたので一部刈り取りも行いました。
 

最初は歩くことに暑さにも不安がありましたが、解説をいただきながら参加者の皆さんとお話しながら楽しめましたと参加者の方からもお話いただきました。

 

【ウオーキングコース】

しもはじキャンプ場をスタートして、弁天池、西光寺、涸沼川沈下橋からしもはじキャンプ場に戻るルートでした。

キャンプ場を後にして、まず向かったのは、ニワウルシのエリア。
ここは、今年度も実施した駆除作業を行った場所です。

作業後にも、NPO環~WAの皆さんで整備を進めてくださっていたそうです。

弁天池までは、木陰もあり快適だったようですが、そこからは暑さとの戦い。

ガイドの江橋さんに説明いただき、弁天池や田んぼの用水路、涸沼川沈下橋など、いくつかのスポットで生き物観察なども楽しみました。 



参加者の皆さんも自然の中での観察や体験を通じて生物多様性に対する興味や関心について様々な気づきを感じたりしている様子。

最後にそれぞれのコースの皆さんと合流!

さんぽコース、ウオーキングコース皆さん無事、ケガもなく完歩することができました!

 「歩くのに不安でしたが参加して楽しかった」

「里山や田園風景は、見慣れた景色の中で、「川ヒル」「タニシ」「川エビ」「タガメ」など色々な生き物を発見した時は、当たり前の景色が新鮮な景色に変わった」という感想もいただきました。

~~~散策後は、森の中でニワウルシの調査報告会!NPO環~WAの岩間さんからニワウルシの性質やこれまでの調査についてお話いただきました。

第2回目に開催したイベント後に、ニワウルシのアレロパシー(他の植物の成長を阻害する化学物質)の性質の話になり、ということは植物が育つのか?という疑問があがり、調査をすることに・・・。

この調査では、桜やヒノキ、ニワウルシと同じ方法(土や木の量など)で、種をまいてその経過を比較。結果は、ニワウルシが他の木に比べて成長スピードが遅いことが分かりました。実際のニワウルシが点在する場所でも、ニワウルシの周辺には草木が育たたない様子も見ることができます。

参加者の皆さんも真剣に耳を傾けます。

外来種を駆除して終わるのではなく、調査をすることでニワウルシへの理解が深まる機会となりました。ニワウルシについて理解が深まったとの感想もいただきました。 

最後は、皆さんが待ちに待ったランチタイム♪♪

今日はバンズもパティも手作りのオリジナルハンバーガー作りです!

ハンバーガーの作り方を教わりながら、皆さんと一緒に作りました。
トマトに玉ねぎ、レタスと大きめのパティをバンズに挟んで完成。

付け合わせのポテトも味が4種類。デザートのスイカもありました。

 今回は、初めてフィールドの外をめぐる学習会でしたが、整備作業だけではなく、より深く里山のことを学ぶ機会となりました。参加者の皆さんとお話しながら、自然の中を歩くのもとても楽しかったです。

 ご参加された皆さん、お疲れ様でした!

このイベントで得られたこと

・2種類の「しもはじ里山マップ」を制作することができた。
・多様な参加者とともに、2つのコースをめぐり、地域の外来種ニワウルシ、生息する生き物について学ぶ機会となった。
外来種ニワウルシが生態系に及ぼす悪影響を調べる実験をし、他の植物の成長を阻害する結果が現れたことを発表、全駆除すべき外来種であることを示した。

参加者の声

  • 里山を守るために人間にできることは何だろうと日常生活では考えないようなことを考える貴重な機会となりました。
  • 屋外でのイベントだったので、熱中症対策などが不安だったのですが、ドライアイスがあったおかげで快適に歩けました!ありがとうございました!
  • 散歩やウオーキングをしながら楽しく環境などについて学べるのはとてもいいと思います。
  • 24年2月にニワウルシの伐採に参加しましたが、伐採前は緑がなかったところに植物が生えていたので、達成感を覚えることができました。
  • 一人で歩いても気づかない自然のことに周りの人の気づきでゆっくりと見て気づくことができました。とても良かったです。

イベント実施結果

参加者数
35
アンケート回答数
25
参加者満足度
87%
実施してよかった点

・2種類の「しもはじ里山マップ」を制作し、体験型の学習会となった。
・外来種ニワウルシが生態系に及ぼす悪影響を調べる実験の結果を発表し、他の植物の成長を阻害する結果が現れることがわかった。

実施して苦労した点
猛暑対策。伸栄工業が提供してくれたドライアイスをタオルで包み、首などにあてて散策中の熱中症対策を講じた。最高気温37℃の猛暑日だったが熱中症など体調不良者が出ることなくイベントを終えることが出来た。
特に寄付が活きたと感じた点
特定の植物または生きものを取り上げるだけでは、生態系や生物多様性保全の重要性を伝えることは難しい。NPO環~WAは広大な里山エリアを多面的な視点で捉え、保全整備を行っている。整備をするからこそ防災意識が備わると考える。
広域な里山の生態系保全整備にも、学ぶために必要なツール(今回は2種類のマップ)をつくるにも、多くの人力・資材・資金が必要だが、それらを整えるための資金(SAVEJAPANプロジェクト)により取り組みを実現することが出来た。
主催・共催
NPO環~WA
認定特定非営利活動法人 茨城NPOセンター・コモンズ
協力・後援等
損害保険ジャパン株式会社
伸栄工業株式会社
協賛
損害保険ジャパン株式会社