FUN! FOREST!! ~美作の森で林業体験~
レポート
岡山県内で唯一、林業に関する専門知識や資格を取得できる森林コースを開講している岡山県立勝間田高等学校。
その取組内容や林業の楽しさを伝えようと、本企画を開催しました。
当日のスケジュール
10:30-12:30 コースに分かれて午前中のプログラム実施
12:30-13:30 休憩
13:30-15:00 コースに分かれて午後のプログラム実施
15:00-15:15 記念撮影、閉会
実施内容
勝間田高校の演習林を舞台に、勝間田高校の教員5名、高校生10名が、ビギナーコースとアドバンスコースの2つに分かれて参加者をアテンドしました。
(プログラム開始前の説明)
■ビギナーコース
ビギナーコースでは、主にツリークライミング、高校生による樹木クイズを行いました。
ツリークライミングでは、4名のインストラクターに指導をいただきました。装備やロープの扱い方を教わったうえで、木の枝にかけられたロープを登っていきます。
登っていくごとに変わる景色を楽しみ、木に付いている昆虫類に驚きの声をあげながら、ここでしかできない体験を味わい尽くしました。
森林でのイベントに参加するのは初めてという親子も、貴重な体験の機会を楽しみながら、森の豊かさや手入れの大切さを学びました。
(装備を装着中)
(ツリークライミング体験)
樹木クイズでは、3グループに分かれて、演習林の植物について高校生が解説しました。クロモジやウツギ、シラカバ、ホウノキなど、さまざまな樹木を紹介しました。
国内最大の葉をもつ樹木としてホウノキの葉が紹介されると、「大きい!」と歓声が上がりました。
普段の暮らしの中では「木」「葉っぱ」としか認識しませんが、探してみようとして形や大きさをよく観察したり、解説を聞くことで、さまざまな種類の樹木があること、それぞれに特徴を持つことなどに気づくことができました。
(高校生による樹木クイズの様子)
(ウツギの枝)
■アドバンスコース
アドバンスコースでは、清心女子高等学校の生徒22名、教員4名と一般参加の2名の親子が参加しました。指導・サポートで、勝間田高校教員2名、2年生の女子生徒2名が入りました。メインテーマは植生調査です。午前中は山の上部にある自然林での調査、午後は下部に降りて人工林での調査です。
コドラートと呼ばれる10m×10mの区域にロープを張り、そこにある立木の高さや胸の高さでの直系の計測、枝張りの状況や同定のための葉の採取を行いました。1班7人程度に分かれ3グループの調査です。まずは、ロープ張りですが斜面地でもあり、直角の四角を作っていくのは結構大変でした。
次は生えている木の配置図を描き、それから順番に樹高を測りました。12mまで伸びるメジャーポールを使い、それ以上の高さは目分量で計測しました。ポールを伸ばすと先端が揺れるので二人で支えながら、離れた位置からの計測で結構大変でした。
(10m×10mのコドラート設定)
(樹高計測 2人で支え遠方から計測)
斜めに枝を伸ばした木もあり、高校生たちは協力が大切だと感じたようです。木の直径はメジャーを使って1.2mの高さで測りました。
最後に葉の採取です。2.5mほどの高枝切り鋏を使いますが、初体験なので、ストッパーを外して鋏を開くことをわからず悪戦苦闘、高所の枝には4人で協力して、1人を持ち上げて枝先に届くようにするなど、普段では体験できないことを頑張りました。
斜面を歩くのも一苦労でした。自然の中では、体力がいることが認識できたようでした。
(高枝切り鋏での葉の採取)
(午後からの針葉樹林でのコドラート設定)
午後は杉やヒノキが生えている平地で20m×20mのコドラートを設定し調査しました。最後に、杉の木の伐採を見学しました。樹高を各班で計測し、予測を立て、伐採後に正式な樹高を計測しました。25.8mの杉で年輪を数えると40数年の木でした。チェーンソーの激しい音、伐採の手際良さ、倒れる際の圧倒的な迫力と着地音に参加者はみな圧倒されました。
同女子高では10月に屋久島で同じような植生調査をするとのことです。ふるさと岡山と屋久島の森の植生の違いを体験することで、良き学びにつながることが期待されます。(1.2mの高さでの木の直径計測)
(伐採木の樹高計測)
■おわりに
イベント当日は、予報では午後から雨。特に山の天気は変わりやすいということで天候悪化を懸念していましたが、予定していたプログラムを実施することができました。
そろそろ天気が崩れそうだ、ということで、予定時刻より少しだけ早めに切り上げて閉会しました。
最後に、勝間田高校の生徒がつくったコースターをプレゼントしていただきました。
森林のもつ奥深い魅力を親子で体験した機会として、記憶に残り、ふとした時に思い出したり、将来、仕事や関わる場所の選択肢のひとつになっていると嬉しいです。
このイベントで得られたこと
都市部に住む親子の参加が多く、普段の生活では森林や林業との関わりが薄い。
そうした中、ツリークライミングなど子どもの「楽しい」という気持ちをきっかけに、森林の魅力を体験することができた。
遊ぶだけでは終わらずに、樹木について学び、考える時間を持つことができた。
これらのことから、森林の役割や、生物多様性について体感をもって学ぶことができた。
参加者の声
- ツリークライミングを子供が楽しそうに取り組んでいる様子を見て、親も嬉しく思いました。貴重な体験をありがとうございました。
- 生徒さんやスタッフ皆様のおかげでとても楽しめました!!ありがとうございました♡☺
- 木のぼりが楽しかったです。それと一番楽しかったものは、植物探しです。☺
イベント実施結果
- 参加者数
- 一般参加13名(保護者6名、子ども7名)+清心女子高等学校22名
- アンケート回答数
- 一般参加11件
- 参加者満足度
- 98%
- 実施してよかった点
高校生が運営に参加していることで、良い意味でしばりのない、余裕のあるプログラム運営となり、楽しみながら自然に触れることができました。
当日は林業に携わる地域おこし協力隊の方にもオブザーバー参加いただき、参加者と一緒に学びを深めることができました。
- 実施して苦労した点
参加申込は一般参加者の募集開始後すぐに満員御礼になりましたが、開催直前での体調不良等によるキャンセルが相次ぎ、半数での実施となりました。
- 特に寄付が活きたと感じた点
開催場所はJR岡山駅から約100km離れた場所でしたが、参加費無料・バス乗車も無料で、特に岡山市内の参加者を募集することができました。
同じ岡山県内でも南部の岡山市と北部の津山市では気候も異なるため、普段は見かけない植物にも出会うことができました。
- 主催・共催
岡山県立勝間田高等学校
- 協力・後援等
運営協力 特定非営利活動法人岡山NPOセンター
- 協賛
- 損害保険ジャパン株式会社