しめっちカフェ 湿地の埋立て・干拓地における震災時の液状化について~河北潟での調査結果から対策について考える~
レポート
しめっちカフェ「湿地の埋立て・干拓地における震災時の液状化について ~河北潟の調査結果から対策について考える~」開催レポート
もともと昔から湿地や川が近くにある場所を埋め立てした場所は液状化が起きやすく、令和6年能登半島地震の被害があった地域にて液状化をして土地や建物に大きな変化が見られた地域があった。石川県河北潟をはじめとした事例調査から、干拓地や埋立地に潜む地盤リスク、そしてそれに対してどのように向き合うべきかについて目代邦康氏の報告、そして活発な意見交換が行われた。
液状化のメカニズムと被害
通常は、土の中の粒子が粒子の上に乗る(下の粒子が上の粒子を支える)かたちで粒子同士がかみあっており、その粒子間に水が存在している。そこになんらかの地震等の振動が加わると、土の中の粒子が水の間に浮いたような状態になる。振動により上部に水が集まり、土は下へ移動するため地面そのものが下がる。建物や電柱などは上に上がり倒れる。建物の不同沈下、噴砂、側方流動、マンホールの浮き上がりといった多様な被害が発生する。特に、川沿いや砂丘周辺、埋め立て地など、地下に水分を多く含んだ土地で被害が集中する傾向にある。
地形・地質と被害の相関
液状化の被害は、古い道を境に非対称に現れるケースも確認され、過去の土地利用の履歴や地下水の動きが関係している可能性が示唆された。また、古い井戸の深さや、建物の立地(地下水面からの高さ)と被害との関連も見られ、今後の調査が期待される。
対策と課題
被害が出た一方で、地盤改良を行った住宅は比較的被害が少なく、一定の効果があることが示された。個別に対応できる地盤改良や、地下水の調整など、技術的手段の有効性も報告されたが、コスト面や施工対象の限界といった課題も依然として残る。
また、干拓地の中では被害が少なかったものの、その周囲では異なる種類の砂や地質が混在していたことが要因のひとつと考えられている。自然に戻ろうとする地形の力を抑えるのではなく、それを前提とした土地利用の在り方を模索するべきとの提案もなされた。
今後に向けて
「地震は定常の一部である」という視点に立ち、これまで人が改変してきた土地についても、自然の動きを尊重した長期的な視点からの対策が求められる。干拓地を中心に、過去の知見や地域住民の経験を活かし、行政と連携した持続可能なまちづくりへの第一歩として、本イベントは重要な気づきを提供した。
当日のスケジュール
15:00-16:00 目代邦康氏による報告
16:00-16:30 質疑応答
実施内容
~河北潟での調査結果から対策について考える
お話 目代邦康さん(東北学院大学准教授)
能登半島地震においても、河北潟沿岸部の湿地の埋立地・干拓地で液状化被害が発生しました。
液状化被害の調査から、液状化が起こった場所がどんな場所で、どうしてそこで起こったのかお話を伺います。
また過去の事例など、湿地の埋立地の液状化被害についてお話いただき、防災減災について考えたいと思います。
もちろん液状化被害を防ぐためには、湿地の埋立てはしない方が良いのですが、してしまったところではどのような対策を取ればよいか、皆さんと議論できればと思います。
目代邦康さん
(東北学院大学 地域総合学部 地域コミュニティ学科 准教授)
1971年神奈川県大和市生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。専門は、地形学、自然地理学。筑波大学陸域環境研究センター、産総研地質標本館、自然保護助成基金、日本ジオサービス(株)を経て、現在、東北学院大学地域総合学部准教授
参加者の声
- レンガの実験で液状化について知れてよかった
イベント実施結果
- 参加者数
- 対面10名 オンライン24名
- アンケート回答数
- 18
- 参加者満足度
- 67%
- 実施してよかった点
令和6年能登半島地震についてまたはその被害状況など、湿地や川に近い土地の自然と共生について学ぶことができた
- 実施して苦労した点
予定していたゲストスピーカーが急遽出られなくなり、目代氏に依頼した。
- 特に寄付が活きたと感じた点
講師謝礼や会場費として利用した
- 主催・共催
主催:石狩川流域 湿地・水辺・海岸ネットワーク(しめっちネット)
共催:特定非営利活動法人 北海道NPOサポートセンター
- 協力・後援等
協力:特定非営利活動法人 日本NPOセンター
- 協賛
- 損害保険ジャパン株式会社