SAVE JAPAN プロジェクト 2024-2025

レポート

美唄湿原ガイドツアー2025(フィールドプログラム)

2025年07月26日(土)実施
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レポート

美唄湿原の魅力と価値を知るガイドツアーでした。

北海道農業研究センター美唄試験地(旧泥炭地研究室)に残されている湿原の通称である「美唄湿原」。通常は立ち入り禁止となっており、今回は特別な許可を得て立ち入らせてもらっています。

かつて石狩川流域には道内最大の湿原があったが、1970年代までにその99.9%以上が失われています。美唄湿原はその数少ない残存湿原の中でも最大の湿原です。

美唄湿原はかつて全面がミズゴケが優占する高層湿原(ボッグ)であったが、乾燥化が進んだ結果、今では中心部の約2ha以外はササが優占する植生に変化してしまっている。美唄湿原に立ち入る前に、美唄湿原の4mほどある泥炭層を見学。そのふくよかな厚さに驚きました。北海道では年間1mm泥炭が蓄積するため、美唄湿原は4000年ほどの歳月をかけて形成された湿原であると言えます。

泥炭(ピート)とは、植物が分解せずに長い年月をかけて積み重なった土壌。泥炭が一定の厚さで広がった土地を泥炭地といいます。泥炭は未分解の植物を蓄積することで、炭素を固定する役割をもちます。泥炭地は世界の陸地の3%を占めるにすぎませんが、地球上の炭素の3分の1を蓄えています。泥炭は大量の水分も蓄えるため、泥炭地は洪水の調整にも役立ちます。ただ、泥炭地が排水されて泥炭が分解すると、多量の酸素を大気中に放出してしまいます。

泥炭層を見学したのちに、美唄湿原の中に入り、ガイドの方より湿原の植生について説明をうけました。

毎年今くらいの時期にはもう花が咲いたり、ワタスゲがたくさんみられ、ところどころ水たまりになっている箇所があるということでしたが、猛暑の影響か咲いている花はちらほらある状態で、ワタスゲは盛りの時期を終え、水たまりは見当たりませんでした。

入り口からしばらく行ったところは、ササやウルシが多かったですが、途中からそれらがまったくなくなり、湿原の植生の変化を感じました。

湿原の中心部は、入り口箇所よりも地中の水分量が多く、草の間をずっと生えているふかふかのミズゴケは、水分を蓄えてよりふかふかでした。ジャンプや足で地面を揺らすと周りにいる人でも感じるほど地面がぐらつきました。

石狩川流域の貴重な湿地を感じられる場所でした。

当日のスケジュール

13時に集合場所に待ち合わせをし、各自の車で美唄湿原へ移動。
美唄湿原を構成するふくよかな泥炭を観察し、その後美唄湿原の中へ入りました。

実施内容

かつて、美唄を含む石狩川流域には、広大な湿原が広がっていました。

明治時代以降、先人が苦労して開拓してくれたおかげで、今日の我々が暮らしやすい豊かな土地になりました。しかし、当時の湿地の面積は、今や99.9%以上が失われてしまいました。美唄市内にある宮島沼と美唄湿原は、かつての石狩大湿原の貴重な生き残りとなっています。美唄湿原は、環境省の重要湿地に登録されており、ミズゴケやワタスゲなどが生育する高層湿原が残されている貴重な場所です。

普段は許可なく入ることができない美唄湿原に、今回は10名限定でガイドツアーをいたします。ぜひご参加いただきたく、ご案内いたします。

このイベントで得られたこと

湿原を構成する泥炭地とその厚さを感じることができたこと。湿原内の植生のゆたかさをかんじることができた。

参加者の声

  • 美唄湿原の希少性・重要性に気づかされました。 保全の取り組みに注視していきたいと思います。
  • 湿原があることの良い点や乾燥化による影響を知り、現在の状況を見ることができた。
  • 環境保全を本腰を入れて実行しないと、地球温暖化の加速がさらに進んで大変なことになる。
  • 湿原は治水・温暖化対策に重要な場所 地域の歴史を感じられる

イベント実施結果

参加者数
4名
アンケート回答数
4
参加者満足度
100%
実施してよかった点

通常は立ち入り禁止区域であるため、なかなかすぐに入れる場所ではない湿原の中に入り、湿原を感じることができたことはとてもよかった。

実施して苦労した点

特別な許可を得て立ち入らせていただいていることとガイドが案内できる人数等により参加人数が10名までという応募だったこと。
様々な方に参加してほしい反面、それぞれの場所によって制限が異なるので、いいところを探りながら継続的にツアーを今後も行えるとよいと感じました。

特に寄付が活きたと感じた点

長く美唄湿原の植生等の調査をされている方に今回ガイドを依頼できたこと、参加人数が少なくてもその場所のよいところを参加者へ伝えることができたこと

主催・共催

主催:宮島沼の会

共催:石狩川流域 湿地・水辺・海岸ネットワーク

   特定非営利活動法人北海道NPOサポートセンター

協力・後援等

協力:特定非営利活動法人日本NPOセンター

協賛
損害保険ジャパン株式会社